長嶋さん　石原裕次郎さんとは「裕ちゃん」「シゲ」の仲　健さん、ひばりさんら華やかな交友関係

長嶋さん（左）がプロ入りした頃から親交が深かった石原裕次郎さん

　プロ野球を国民的スポーツに押し上げた長嶋茂雄さんは、その交友関係も華やかだった。明るく親しみやすい人柄で、スターたちの心もつかんだ。

　特に1学年上の石原裕次郎さんとは「裕ちゃん」「シゲ」と呼び合い、一緒に米国旅行もした仲だった。長嶋さんのプロ入り前から交遊があり、プロ2年目には裕次郎さんが応援歌「男の友情背番号・3」を発売した。

　長嶋さんが新人時代に、ベースを踏み忘れ本塁打が取り消されたのは有名だが、それを知った裕次郎さんは「シゲらしい」と大笑いしたという。長嶋さんが幻の本塁打を放ったバットを、プレゼントしたエピソードもある。

　1987年に裕次郎さんが亡くなると、長嶋さんは毎年、命日の7月17日に裕次郎さんの自宅に足を運んでいた。それは2004年に脳梗塞で倒れた後も続いていたという。09年に出席した裕次郎さんの二十三回忌ではヒット曲「わが人生に悔いなし」を歌った。マイクを握って歌うのは脳梗塞を患って以降、初めてのことだった。亡き親友への思いからの行動だった。

　高倉健さん、美空ひばりさん、石原裕次郎さん、北島三郎、吉永小百合ら時代を代表するスターとの交流は、まばゆい光を放つ昭和の1シーンだった。