【センバツ】健大高崎・下重 魂の136球完投 4校目の春連覇へ延長タイブレーク制す

[ 2025年3月19日 05:20 ]

第97回選抜高校野球大会第1日 1回戦   健大高崎3―1明徳義塾 ( 2025年3月18日    甲子園 )

<明徳義塾・健大高崎>試合を制し、ガッツポーズする健大高崎・下重(撮影・五島佑一郎)
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 史上4校目の選抜連覇を狙う健大高崎(群馬)は延長10回タイブレークの末、明徳義塾(高知)に3―1で競り勝ち、2回戦に進出した。

 苦しみの末に勝利が待っていた。雨の降る延長10回2死一塁。健大高崎の最速145キロ左腕・下重賢慎(3年)は武器とする「バルカンチェンジ」で三邪飛に仕留めた。勝利の校歌を歌い、キャッチボールを始めたところで頬に熱い涙が伝った。

 「自分で抑えられるか不安で怖かった。凄くホッとして…(スタンドで)応援してくれた仲間にも笑顔が見えたのでうれしかった」

 名将・馬淵史郎監督率いる明徳義塾とタイブレークの死闘を演じ、136球の熱投で3安打1失点完投。帽子のひさしの裏には「龍月の分まで」と書いた。優勝した昨春選抜で22回無失点だった左腕・佐藤龍月(りゅうが=3年)は左肘内側側副じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)明けで今大会は野手に専念。「(昨年の)春、夏は自分たちに感動を与えてくれた。次は自分が佐藤を引っ張る」と奮い立った。

 この冬、新たにマスターした7つ目の変化球で幻惑した。野球ゲームの「プロ野球スピリッツ」で遊んでいた際、自分を能力化するとスクリュー方向にだけ変化球を持たないことに気づき「全方向に曲げられた方が強い」と新球種「賢新ボール」を開発した。

 左脇腹を痛めている最速158キロのエース右腕・石垣元気(3年)の温存にも成功。「石垣の状態が良くなかったので必死にマウンドを守った。全員の力で1勝することができたので自信を持って次の試合もやりたい」。大会連覇へ視界良好。涙は乾き、決意のまなざしは鋭かった。(柳内 遼平)

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