プロ注目の早大・伊藤樹 7回1失点で開幕戦白星!打球が左太腿裏に直撃も意地見せる

[ 2025年4月13日 05:00 ]

東京六大学野球 第1週第1日   早大4―1東大 ( 2025年4月12日    神宮 )

<東大・早大>今季初勝利を挙げた早大・伊藤樹(撮影・松永 柊斗)
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 連盟創設100周年を迎えた節目の春季リーグ戦が開幕し、1回戦2試合が行われた。リーグ3連覇を目指す早大は、プロ注目の最速151キロ右腕・伊藤樹投手(4年)が7回4安打1失点で開幕戦白星を挙げた。また、今春から導入されたビデオ検証の機会はなかった。

 ポーカーフェースを貫く伊藤樹が痛みに顔をゆがめた。2回先頭、鋭い打球が左太腿裏に直撃。一度は倒れ込んでもマウンドを譲らなかった。早大のエースナンバー「11」を受け継ぐ自負だった。

 「ここで代わって試合に負けると考えたら、投げるしかないなと思った」

 踏み込むたびに痛む左足。初回は最速146キロだった直球が130キロ台後半まで落ちた。「とにかく低めに投げること、両サイドに丁寧に投げた」。114球の熱投で7回1失点に抑えてリーグ通算14勝目をつかんだ。攻守交代で足を引きずる満身創痍(そうい)。「投手としての“投げ意地”みたいなところは人より強い。1試合目のマウンドに立てて、勝ち星もつけられたので喜ばしい」と誇った。

 2度甲子園に出場した仙台育英(宮城)時代からプロ野球のスカウトに注目される逸材。目標には「ドラフト1位でのプロ入り」と「プロで15年以上活躍すること」を掲げる。視察したロッテ・榎康弘アマスカウトディレクターは「打球が当たり、本調子ではない中でもゲームメークできた。変化球を低めに集めることができる」と改めて評価した。

 早大の初代監督で「学生野球の父」と称される飛田穂洲、リーグ最多の通算81打点を樹立した岡田彰布、神宮で大フィーバーを起こした斎藤佑樹らOBが中心にいた東京六大学の歴史。リーグ最多48度の優勝の伝統を重んじる小宮山悟監督は「100年はとんでもない数字。早稲田として、しっかりとした野球を見せたい」と決意を新たにした。

 伊藤樹は早大で20勝を挙げてドラフト1位でロッテ入りした指揮官の在学時の成績を寮の扉に貼り「通算20勝を目指したい」と誓う。あと6勝。偉大な先輩の背中が見えてきた。(柳内 遼平)

 ◇伊藤 樹(いとう・たつき)2003年(平15)8月24日生まれ、秋田県出身の21歳。仙台育英(宮城)では1年夏、3年春に甲子園出場。早大では1年春にリーグ戦デビューし、3年夏に大学日本代表に選出。リーグ通算47試合で14勝3敗、防御率1・72。1メートル76、78キロ。右投げ右打ち。

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