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比嘉大吾 死闘の末に2階級制覇ならず…再戦も判定3者がドロー 国内最長6年10カ月ぶり王座復帰逃す

[ 2025年2月24日 18:18 ]

プロボクシングWBA世界バンタム級タイトルマッチ   王者・堤聖也(角海老宝石)<12回戦>同級4位・比嘉大吾(志成) ( 2025年2月24日    東京・有明アリーナ )

<プライムビデオボクシング11>引き分けとなった比嘉(左)と堤(撮影・島崎忠彦)
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 元WBC世界フライ級王者の挑戦者・比嘉大吾(29=志成)はWBA世界バンタム級王者・堤聖也(29=角海老宝石)との死闘の末に判定引き分けで2階級制覇はならなかった。勝てば18年4月に体重超過でWBCフライ級王座から陥落して以来、国内最長記録となる6年10カ月のブランクを経ての戴冠だったが、元世界ミニマム級王者・高山勝成が持つ5年11か月の更新はならなかった。

 勝っても負けても現役ラストマッチの覚悟で臨んだ世界戦は死闘になった。序盤からジャブ刺し合いの展開の中で、比嘉の得意な左フックが堤の顔面を捉える場面があった。4ラウンドに比嘉のバッティングで堤の右目尻が切れた。比嘉は「ごめん!」と大声で謝罪し、再開すると一気に両者アグレッシブの打ち合いとなった。中盤から終盤にかけて2人の距離はどんどん縮まって、接近戦の展開に。

 試合が動いたのは第9ラウンド。比嘉が左フックでダウンを奪った。しかし堤のカウンター右ストレートで倒れるダウンの応酬に会場は大熱狂となった。

 第10ラウンド以降は、ダメージが残りながら堤の猛攻を耐え続けた。会場から大歓声が上がる中で、最終ラウンドは両者が全力を出し切って試合終了のゴングが鳴った。ゴング直後に2人は笑顔で抱擁してしばらく健闘を称えあった。判定は3者が114ー114の引き分けで王座奪取とはならなかった。

 花道を帰る際にはファンから「やめないで!」という声が飛んだ中で、比嘉は笑顔見せてファン対応していた。

 比嘉は昨年9月、6年5カ月ぶりの世界挑戦でWBO世界バンタム級王者・武居由樹(28=大橋)に壮絶な打ち合いの末に判定負け。試合後に引退を表明し、高校時代からの友人である堤にも引退の意向を伝えたが、その堤サイドから対戦オファーを受けて現役続行を決意した。アマで対戦経験があり、20年10月のノンタイトル戦では引き分けた堤からの「比嘉大吾、最後の試合になる」という挑発にも、「試合に負けたくらいでは人生はつぶれない。自分は引退した後の方を楽しみにしている」と比嘉らしいスタンスで闘志を燃やしてきた。

 フライ級王者時代から練習姿勢にはムラがあったが、昨年12月にトレーニングを再開すると、オーバーワークを心配されるほど真剣に取り組んだ。コンビを組んで長い野木丈司トレーナーは「武居戦はもう少し時間が欲しかった。だから90%の実感だった。以前は集中力が欠けていて60%だったが、大吾の言葉を借りるなら“自分に嘘をついて”頑張ることがメンタルの強さを生み出している」と説明。「今回は95%はいけたと思う。試合で100%になってもらえたら」と期待を寄せていた。デビュー15連続KO勝利の日本記録で世界王座2度防衛の絶頂から、体重超過による王座剥奪でドン底へ突き落とされ、バンタム級でも苦闘続きで引退寸前だった男。人生で最もボクシングにひた向きに取り組んだが、再びの世界ベルトは遠かった。

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