×

天心 元世界王者モロニーに判定勝ち!デビュー6連勝「初めて打ち合い…男になれた」世界初挑戦へ弾み

[ 2025年2月24日 20:15 ]

プロボクシング119ポンド(約53.98キロ)契約   WBOアジア・パシフィック・バンタム級王者 那須川天心(帝拳)<10回戦>前WBO世界バンタム級王者 ジェーソン・モロニー(オーストラリア) ( 2025年2月24日    東京・有明アリーナ )

<バンタム級10回戦 那須川・モロニー>1回、ジャブを放つ那須川天心(撮影・藤山 由理)
Photo By スポニチ

 WBOアジア・パシフィック・バンタム級王者・那須川天心(26=帝拳)が前WBO世界同級王者ジェーソン・モロニー(34=オーストラリア)に3―0判定で勝利した。世界ランカー対決を制し、今秋予定する世界初挑戦へのテストマッチをクリアした。那須川はプロボクシングデビューから6戦全勝とした。

 “神童”が元世界王者を下し、世界初挑戦へ進化を証明した。

 「銀河」をイメージし、シルバーヘアに加えグローブやコスチュームをガンメタリックで統一した天心。初回は互いにジャブで距離を測りながら様子を見るが、終盤に何度も右を被弾するなど不穏な立ち上がり。4回以降、徐々に圧力を強めるモロニーを前に我慢の時間が続くが、左のボディで動きを止めにかかる。6回にはモロニーの左・右で後ろ向きに倒れかけるが何とかこらえ、ラッシュをしのぎ切った。7回には鼻から出血するも、相手のガードの隙間に強烈な右アッパーを差し込み攻勢に転じた。最終10回は前に出てくるモロニーをいなしながら意地のぶつかり合い。そのまま試合終了のゴングがなった。

 試合後にはリング上でWBO同級王者・武居由樹(28=大橋)とがっちり握手。「必ず僕も世界チャンピオンになるんで、いつか必ず戦いましょう!」と呼びかけると、武居も「自分もやらなきゃいけないことがあるんで、それをクリアしたらまたこのリングでやりましょう!」と応じた。

 “世界仕様”の右を披露した。モロニー戦の勝利の鍵を「前の手」と話してきた那須川。100ラウンド以上のスパーを消化し、「ジャブだがパワーが乗っている。ダメージも与えられる」と話す新たな武器を仕上げた。これまではカウンター主体のスタイルだったが、昨年10月の初タイトル獲得後は「自分からプレッシャーをかける」攻撃的スタイルに着手。ポジショニングや重心の置き方、スタンスの広さなども微調整。「解釈の違い」に戸惑った時期もあったが、担当の粟生隆寛トレーナーらとの対話を重ね完成形に近づけた。

 その「前の手」の指導を受けた、帝拳ジムマネジャーの長野ハルさんが元旦に老衰のため99歳で死去した。「初心を忘れないため」に常に右ジャブを意識させ、短期間で自らのものにする那須川に対し「あの子はのみ込みが早い」とよく口にしてきた同マネージャー。逝去後はジムとトレーナーや選手ら数人で長野氏と対面し、お別れを告げた那須川。これまでベルトへの興味はなかったが「ずっと見てくれていると思う。そのために必ず獲りたい」。世界ベルトを長野さんに披露するまで勝ち続ける。

 「今回の試合でどこまで通用するか、みんなが分かるライン」と話していた一戦で20年に井上尚、昨年5月に武居由樹(大橋)と対峙(たいじ)した元世界王者に勝利。今秋の世界初挑戦前の前哨戦第1弾をクリアした。文字通りにのろしを上げ、世界挑戦の資格があることを証明してみせた。

 ▼那須川 いやー、ほんっとにモロニー選手むちゃくちゃ強くて。初めて効かされたというか。凄くいい経験させてもらいました。初めて打ち合いをして、一人前というか、男になれたかなと思います。可能性は見せられたと思います。こんなに楽しくなることはなくて、いろんな可能性を感じながら戦った。見ててハラハラしました?すいません、こんな顔も腫れちゃって。顔で売ってるのに。すいません2度目で。今回6戦目でモロニ―選手。普通だったらこういうことをさせてもらえないと思うんですけど、本当に僕は恵まれています。

続きを表示

この記事のフォト

「井上尚弥」特集記事

「那須川天心」特集記事

2025年2月24日のニュース