国立劇場でのファッションショー問題、歌舞伎俳優からも怒りの声「これが伝統芸能の殿堂の末路なのか」

[ 2025年2月19日 16:41 ]

市川門之助(2014年撮影)
Photo By スポニチ

 歌舞伎俳優の市川門之助(65)が19日までに自身のブログで、建て替えのため閉場した東京・国立劇場で「ファッションショー」が行われたことについてコメントした。

 1966年に開場した同劇場は歌舞伎や文楽、日本舞踊、邦楽など伝統芸能の保存や継承を目的として多くの作品が上演されてきたが、老朽化を理由に建て替えが必要となり、2023年10月末で閉場。当初、29年の再開場を目指したが、建設費の高騰や入札不調で事業者の選定に至らず。再整備計画を改定して、早期の再開場を目指すとしている。

 そんな劇場で今月5日に「ユニークベニューでの活用」としてファッションショーが行われたことで、伝統芸能関係者やファンから「伝統芸能を公演できなくしておいてファッションショーに使うとは」など批判や疑問の声が上がっていた。

 門之助は15日、「閉場中の国立劇場で400人もの観客でファッションショー?!」と題してブログを更新。「伝統芸能の殿堂である国立劇場の建て替えが決まって、1年以上 しかし建築費の高騰などの理由で一向に、建て替えプランが進んでいません」と現状を伝え、「舞台機構の心臓部や空調、配管など施設の老朽化で建て替えなければいけないことは致し方ないこととして、閉場しているのになぜファッションショーをやっているのでしょう?」と疑問をつづった。

 そして「お客様を入れてファッションショーができるなら、せりなどの舞台機構を使わずにできる公演もあるはずです」と続け、「これが伝統芸能の殿堂の末路なのか…」と嘆きも。「国立劇場を運営する独立行政法人日本芸術文化振興会曰く引き続き他の劇場で伝統芸能の灯を絶やさず『公演を継続しています』と言うことですが、建て替え中に仕事が減っている方たちもたくさんいます」と伝統芸能関係者の内情を伝えた。

 「せめて劇場の最後の瞬間まで、公演する側に劇場としての老朽化を承知した上、またお客様にもご承知いただいた上で伝統芸能の殿堂としての役割を全うさせてもらえないのでしょうか? 『ユニークベニュー』と言うのなら国立劇場をユニークベニューたらしめる伝統芸能をやれば良い」と訴えた門之助。

 「どのような背景で決まったのかは存じませんが、伝統芸能に関係のない1ブランドのファッションショーを藪から棒に開催したニュースに流石に腹立たしさを感じています 国立劇場を運営する独立行政法人日本芸術文化振興会に対しては、もう少し伝統文化への深い理解と配慮を求めたいと思います」と要望をつづった。

 今年1月には国立劇場の舞台裏を見学するバックステージツアーも行われたが、「インバウンドのバックステージツアーやファッションショーをやっている場合ではありません」と門之助。そして「業を煮やした公益社団法人日本舞踊協会ではこのような動きも始まりました」として日本舞踊協会による国立劇場再開場を求める署名活動を紹介。「伝統文化の次の幕開けのために、たくさんの想いの詰まったあの劇場に別れを告げた多くの人たちの気持ちが踏み躙られたニュースでした」と憤りをつづり、ブログを締めた。

続きを表示

「美脚」特集記事

「中居正広」特集記事

2025年2月19日のニュース