×

デビュー戦2回TKO勝ちの坪井智也「何も緊張しなかった」 倒しきったのは「ヤジが聞こえたので…」

[ 2025年3月13日 18:48 ]

プロボクシング 117ポンド(約53.07キロ)契約   坪井智也(帝拳)<8回戦>ブーンルエン・ファヨン(タイ) ( 2025年3月13日    東京・両国国技館 )

2R、ボディーブローで最初のダウンを奪った坪井(撮影・長久保 豊)
Photo By スポニチ

 2021年アマ世界選手権バンタム級金メダリストの坪井智也(28=帝拳)がプロデビュー戦に圧巻の2回TKO勝ちを収めた。WBOアジア・パシフィック・バンタム級2位ブーンルエン・ファヨン(26=タイ)を2回に2度倒し、2分34秒TKO勝ちした。

 アマとは異なるリングとグローブでの初めて試合。スピードで圧倒しながらリズムをつくろうとしていた坪井に、「つまらねえ~」と心ないヤジを飛ばす1人の観客が現れた。その直後、坪井は左フックで最初のダウンを奪い、さらに強烈な左ボディーで倒してレフェリーストップ。「何も緊張しなかった。8ラウンドを通して何ができるか確認したかったが、倒し切ることもできなければプロボクサーではないと思ってもいるので、倒し切れてよかった」と振り返った。

 プロの試合感覚をつかむために長いラウンドを希望していたが、一気にフィニッシュに持っていったシーンを問われると「ヤジが聞こえたので」と答えて笑いを誘った。さらに真面目な表情で「あそこでしっかり攻めきらなきゃいけないと本田(明彦)会長からも言われていた。ああいう状態でも8ラウンドはできるけど、ここは倒しきる練習をした方がいいのかなと。よかったと思う」と付け加えた。

 相手のパンチをまともにもらう場面はなかったが、「ほとんどもらってないのに頭が痛かった。ちょっとプロのパンチを受けるとこんな感じなんだと」と、プロの怖さも体験した。舞台は自身が出場できなかった21年東京五輪の会場だった両国国技館。「何も気にしなかったけど、1回は立ってみたかったリング。素晴らしい舞台でできたのはうれしかった」と顔をほころばせた。

 プロになったからと言って。パワー重視などにスタイルを変えるつもりはない。「コツコツ当てていけば効くと思う。戦略で上回った上でパンチを当てれば、相手は体の機能的に壊れていく」と説明し、目標とする世界王者へ「本当に強い選手と12ラウンドをやって、どうなるかは分からない。今のボクシングをしっかり続ける体力を上げていきたい」と課題も明確にしていた。

 ◇坪井 智也(つぼい・ともや)1996年(平8)3月25日生まれ、静岡県浜松市出身の28歳。11歳でボクシングを始め、浜松工から日大へ進んで全日本選手権4連覇。18年に自衛隊体育学校入りし、21年世界選手権(セルビア)バンタム級で金メダルを獲得。23年同選手権(ウズベキスタン)はフライ級でベスト8入りした。パリ五輪は予選を兼ねた23年杭州アジア大会、24年五輪予選でともに敗れて出場を逃した。アマ戦績131戦106勝(10KO)25敗。1メートル60の右ボクサファイター。

続きを表示

「井上尚弥」特集記事

「那須川天心」特集記事

2025年3月13日のニュース