×

WBA王者ユーリが拳四朗に敗れる リングで大号泣…11回まで判定リードも、第3子誕生を前にベルト失う

[ 2025年3月13日 21:38 ]

プロボクシング WBC・WBA世界ライ級王座統一戦   WBC王者 寺地拳四朗(BMB)<12回戦>WBA王者 ユーリ阿久井政悟(倉敷守安) ( 2025年3月13日    東京・両国国技館 )

<トリプル世界戦>泣きながら引き揚げる阿久井(撮影・島崎忠彦) 
Photo By スポニチ

 WBA世界フライ級王者のユーリ阿久井政悟(29=倉敷守安)がWBC同級王者・寺地拳四朗(33=BMB)に12回1分31秒でTKO負けを喫し、3度目の防衛に失敗して王座から陥落した。

 序盤から積極的に手数を出した。右ストレートやカウンターで攻め、6回には両者足を止めて激しく打ち合った。終盤、フットワークを使い出す寺地に食らいつき、10回には左フックをさく裂させた。最終12回に寺地のラッシュにつかまり、最後はレフェリーが割って入った。

 11回までのジャッジペーパーでは2人が105-104でユーリ、1人が106―103で拳四朗につけており、リードしていた。敗戦後はリング上に座り込み、号泣。寺地から声を掛けられる場面もあった。

 地方ジムの星・ユーリが、世界戦17戦目で統一戦も経験しているベテラン拳四朗に屈した。かつてスパーリングでボコボコにされ、英ブックメーカー、ウィリアムヒルのオッズも拳四朗の1.25倍に対しユーリは4倍。不利の予想を覆せなかった。

 恒例となっている東京でのスパー合宿は2月2日から約1カ月間。帝拳ジムのWBO世界ライトフライ級王者・岩田翔吉、21年世界選手権金メダリストルの坪井智也らと精力的に手合わせをしてきた。意識したのは「寺地の嫌なリズムや間合いなどに惑わされないこと」。今回から母校の環太平洋大で体幹トレーニングも導入し、「筋肉がついてきた。予想以上に効果が出た」とパワーアップを実感していた。

 絶対に負けたくない理由があった。第3子を妊娠中の夢夫人が6月末に出産予定で、男の子と判明。今回は医師に止められて地元・岡山に残っており、ユーリは「王者のまま生まれてくるのを迎えたいです」と必勝を誓っていた。2人の娘は親戚と一緒に観戦したが、統一王者になる姿を見せることができなかった。

 両国国技館で戦うのは初めてだった。リングネームの由来である元WBC世界フライ級王者・勇利アルバチャコフ(ロシア)が初挑戦でベルトを獲った場所だったが、夢の王座統一は果たせなかった。

続きを表示

この記事のフォト

「井上尚弥」特集記事

「那須川天心」特集記事

2025年3月13日のニュース