【王将戦】谷川浩司17世名人 第3局解説&第4局展望 受けの強さ示した第4局 絶好調永瀬の作戦に注目

[ 2025年3月8日 05:00 ]

A図
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 【谷川EYE】谷川が立会人を務めた大阪府高槻市での第4局は、藤井に記録達成が懸かった。谷川と並ぶ歴代5位のタイトル27期。第4局では逃したが、2週間後の今月2日、棋王戦第3局で千日手指し直しの末に勝利し、到達した。

 第3局をネット中継で見守った谷川がまず驚いたのは、指し直し局での藤井の正確な指し回し。「残り時間が少ない中、ノーミス。最後も長手数の詰みを読み切りました」。千日手局の消費時間から指し直し局は藤井が1時間、増田康宏八段は2時間8分からのスタート。最後は23手詰めを見極めての勝利を称えた。

 自身が41歳で到達した27期に22歳が並んだ。「もう少し後かなと思いました」と苦笑い。「改めて驚きではありますが、羽生善治九段の99期を抜くとしたら藤井王将しかいない。27期は通過点だと思います」。王将戦第5局には早速「谷川超え」が懸かる。

 藤井がシリーズ初黒星を喫した第4局。感想戦を済ませてからの打ち上げで、谷川は藤井から聞かれたという。

 「“(75手目)▲5四飛は先手の調子が良さそうに感じたのですが、どうだったですか?”と聞かれたので、“AIの評価もバランスは取れていたようです”と答えました」

 2日目の封じ手開封直後。1筋から攻め込んだ飛車を3筋、さらに5筋と転回して永瀬銀とさし違えた。「駒の損得よりスピード」。終盤のセオリーを思わせる踏み込みに一定の手応えを抱いての決断だったがその後、変調を示すシグナル、連続長考が始まる。持ち時間を投じて先々まで読んだ指し手なのに、相手の応手を見て再び迷う。その結果、93手目▲3四銀という「いろいろ考えた末の一番悪い手」へ行き着く。

 「形勢をよくする順がありそうで見つからない。連続長考に苦心がうかがえました」

 藤井が最初指したかったのは90手目△2二同金(A図)に対する▲4三歩ではなく、▲4五桂だったという。△同歩なら▲6二角成と金を取れるので、▲4五桂には△5五歩▲同銀△4七香▲4三銀△4八飛成▲6七王△5二金打が変化の一例。「感想戦ではお互いの玉が中段まで行く変化もありました」と、棋譜用紙2枚目の151手超えがありえた熱戦の裏側を解説した。「本譜は(永瀬の92手目)△5二金が勝因で、一見危なっかしい受けですが飛車角が随所に利いて受けの強さを示しました。永瀬九段にとって1勝できたことは大きい。“(戦前から)一局でも多く指したい”と熱望していました」。4月開幕の名人戦7番勝負での挑戦も決め、勢いに乗る永瀬の作戦にまず注目が集まる。(構成・筒崎 嘉一)

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