【王将戦】藤井王将、万全　渋沢アンドロイドから諭吉との逸話を聞き、より楽しみに

＜ALSOK杯第74期王将戦第5局・前日＞旧渋沢邸中の家前で埼玉ポーズを決める（右から）藤井王将、永瀬九段、小島進深谷市長ら（撮影・西尾　大助、会津　智海、大城　有生希、藤山　由理）
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　将棋の藤井聡太王将（22）＝7冠＝に永瀬拓矢九段（32）が挑むALSOK杯第74期王将戦7番勝負（スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催）は7日、埼玉県深谷市の旧渋沢邸「中の家（なかんち）」で8日から指される第5局の対局場検分を行った。ここまでの対戦成績は藤井の3勝1敗。藤井は勝てば史上5人目の王将戦4連覇、永瀬は4月開幕の名人戦挑戦権を獲得した勢いで2勝目を目指す。

　対局場検分を前に渋沢栄一記念館を見学した。渋沢アンドロイドから「福沢諭吉と将棋を指した時は大変褒めてもらえた」とのエピソードが語られ、藤井は興味深そうに聞き入った。大隈重信邸で福沢と指して勝った渋沢が、「（福沢から）商売人にしては強かったと言ってもらえた」と語った逸話があるという。

　「初めて知ることが多くて勉強になった。ゆかりの所で対局できるということで、より楽しみになった」。渋沢が生誕した建物での対局。「日本資本主義の父」と称される実業家は藤井が愛好する鉄道の功労者でもあった。日本初の私鉄「日本鉄道」の設立に参画するなど、国内外40以上の鉄道に関与。深谷市を走るJR高崎線も元は日本鉄道だった。

　2月の第4局では2日制先手番での連勝が3年7カ月ぶりに32でストップした。以来19日。その間も重要対局が相次いだ。

　棋王戦は3連覇。昨年失冠した叡王戦は準決勝で敗退し、8冠返り咲きを逃した。そして永瀬が名人戦挑戦権も獲得した。「充実ぶりを感じるところはあった」。新たな意味合いが加わった第5局へ、「（後手番でもあり）まずは序盤を乗り切って、中終盤の難しい将棋に持ち込めれば」と意欲を語った。（筒崎　嘉一）