里中満智子氏　楳図かずおさんは「超強力な表現者」「物を描く覚悟を教わりました」

楳図かずおさんのお別れ会に参列した里中満智子氏　（撮影・小田切　葉月）
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　昨年10月28日に88歳で亡くなった漫画家の楳図かずお（うめず・かずお、本名一雄＝かずお）さんのお別れの会が28日、東京都武蔵野市の吉祥寺エクセルホテル東急で営まれた。「アリエスの乙女たち」「天上の虹」などで知られ、公益社団法人日本漫画家協会理事長を務める里中満智子氏（77）が弔辞を読んだ。

　楳図さんが読者からのクレームに動じなかったエピソードを披露し、「プロとして作品を描くのは仕事としてだけじゃなく生き方にもつながるんだなと思いました。自分が信念を持って描いていることに対して、誰が何と言おうとブレちゃいけない。だから動じない。傍で楳図先生を見てると全く動じないように見えましたし、それが頼もしかったです。物を描く覚悟とはこういうことなんだと教わりました。先生は見事に自分の作品世界を貫いてこられたと思います」と尊敬の念をにじませた。

　最後は「いつもなかなかできない“グワシ！”を必死になってやろうと思うのですが、手が震えて指がつりそうです。先生、またお会いしたいです。近いうちに行きますので、よろしくお願いします。グワシ！指がつっちゃいました」と結んだ。

　お別れの会直前には報道陣の囲み取材に登場。「一言で言えば天才ですが、惜しむことなくエネルギーに変えて見せてくださったと思います。凄い才能を持つ人はいっぱいいると思うのですが、それを表現しようとするエネルギーが凄いと思いました。超強力な表現者です」と称えた。

　楳図さんは1936年9月生まれ、和歌山県出身。55年に「森の兄妹」でプロ漫画家デビュー。ホラー漫画の第一人者として活躍した。代表作は「漂流教室」「まことちゃん」など。ホラー漫画を軸にSF、ギャグと幅広い分野で漫画文化へ貢献した。