Dバックス・キャロルがナ・リーグ3位の18号 “飛ばす力”を変えたスイング改良とは?

[ 2025年6月4日 11:39 ]

ダイヤモンドバックスのコービン・キャロル(右)(AP)
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 ダイヤモンドバックスのコービン・キャロルは3日(日本時間4日)のブレーブス戦に「1番・右翼」でスタメン出場。17号、18号本塁打を含む3安打4打点で8―3の勝利に貢献した。18本塁打はナ・リーグでは大谷翔平、カイル・シュワバーに次ぐ3位。昨季の22本を大きく上回る49本ペースとなった。

 長打力が向上した理由はスイングの改造にあると大リーグ公式サイトが説明している。まずはスイングパスで、フラットになっていたスイングに少し角度をつけた。「ゴロを打つ時はボールの上っ面を叩いていて、ポップフライの時は下をくぐっていた。もっとバットに角度をつけた方が、ライナー性の打球が増えるというのは、ちょっと直感に反する考え方かもしれませんが、僕にはそれが必要だったんです」と地元紙の記者に語っている。

 ポイントは投手がボールを投げ込んでくる軌道とスイング軌道をいかに一致させるかということ。

 「要は、自分のアタックアングル(バットの入射角)を、投球の軌道に合うようにしたんです。スイングパスを改善することで、良いコンタクトができるウィンドウを広げようとした。アタックアングルの調整に加えて、スイングパスの垂直角も少し下げて、対応しました。この2つの組み合わせに取り組んだんです」

 スイングパスとは、バットがボールに向かっていく軌道のことを指し、MLB平均は32度。2024年4月と5月のキャロルのスイングパスは21度で、これは2023年の26度から低下し、リーグ全体でも最もフラットなスイングだった。そのスイングは2024年、月を追うごとに少しずつ角度がつき、今では2023年の状態に完全に戻っている。

 スイングパスが「バットがボールに向かう動き方」を表すのに対し、アタックアングルは「インパクト時にバットがどの角度でボールに当たっているか」。つまりバットにとっての打球角度のようなもの。理想的なアタックアングルは5度から20度の範囲でこの角度帯が最も価値の高い打球を生む。なぜならピッチャーがマウンドから投げ下ろし、重力の影響も受けるため、ボールはだいたい-5度から-20度の角度で打者に向かってくるからだ。この傾きとバットの動きが一致しやすいようにした。これが大きかった。

 2024年前半、キャロルは理想的なアタックアングルでスイングできた割合がリーグの下位25%にとどまっていた。しかし2025年にはこの数値が一転、リーグトップに躍り出た。25年理想的アタックアングルでスイングした割合は73%である。キャロルは「自分の理想とする形でゾーンに入り、ゾーン内にバットを長く留める効率的なスイングができている。ゾーンから早く抜けてゴロを打ってしまうようなスイングはしていない」と語った。

 この「引っかけたゴロ」を減らすことも、アプローチを変えた大きな成果のひとつだった。キャロルはこのスイング改造を感覚ではなく、科学的なアプローチで実現した。「いろんな種類のバットを使いました。重さや長さの異なるものを使って、ほとんどすべてのスイングにカメラを使って確認しました。バットセンサーのブラストも使い、ヒッティング・パフォーマンス・ストラテジストに診てもらっています」。手の位置を変え、スタンスも変更した。「身長(=構えたときの高さ)を失いたくなかった」と本人は説明している。

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