次期朝ドラヒロイン・高石あかり 主演映画で憑依される役 「練習で頭がパンクしそうに」

[ 2025年4月1日 12:00 ]

映画「ゴーストキラー」で殺し屋の幽霊に憑依される大学生を演じた高石あかり
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 【牧 元一の孤人焦点】次期NHK連続テレビ小説「ばけばけ」(今秋放送)に主演する俳優の高石あかり(22)が、4月11日公開のアクション映画「ゴーストキラー」(園村健介監督)に主演した。殺し屋の幽霊に取り憑かれ、戦いに臨むことになる大学生・ふみか役。演技力の高さから「令和の憑依女優」と称される高石に「憑依された人」の演じ方などについて尋ねた。

 ──憑依される役ですね!
 「完全に憑依されていますね(笑)。でも、憑依されて身体が動くということはないので、一人で二役をどう演じ分けるかということに苦心しました」

 ──そもそも「憑依女優」と称されることに関しては?
 「違う気がします。自分がそのキャラクターになってしまうことや、そのキャラクターが抜けなくなってしまうことはありません。自分とキャラクターは全く別で、例えば『この役は大変ですね』と言われても『大変なのは私ではなく役です』と思います。役を演じる時はそのキャラクターが近寄って来てくれるくらいの感覚で、自分がなくなる感覚はなかなかないです」

 ──役を演じている時、どれくらい自分が残っているものですか?
 「私の場合、ほんの少し自分がいます。例えば、演じている最中に『この瞬間の表情をカメラに撮ってもらわないといけない』とか考えます。役が大半を占めているけれど少し自分がいる。役が90%、自分が10%くらいのイメージです」

 ──その比率は新人の頃からですか、それともキャリアを積んでからですか?
 「少しずつそうなりました。どれだけ役に没頭できるかが大事で理性はいらないと思っていた時期もありました。それで成立する場合もありますが、やはり映像となると、カメラで撮ってもらわなければ表現が伝わりません。後ろを向いてしまったら顔が映らないですから(笑)。やはり理性が必要です」

 ──この映画のふみかは殺し屋の工藤(三元雅芸)に憑依され、戦う時はふみかと工藤のキャラクターが瞬時に何回も切り替わるので、いつも以上に理性を働かせないと演じられなかったのでは?
 「確かに、今回は理性が多かったです。ふみかを続けたくても途中で自分で工藤に切り替えないといけない。切り替える時間はゼロコンマ何秒です」

 ──切り替える練習をどのようにしましたか?
 「例えば工藤の時にどれくらい声を低くするのか。やはり高低差がないと、違う人間だと伝わりにくい。けれど、声を低くするだけではただの低音の女性になってしまう。男性だと思ってもらうためには声以外の要素、例えば表情をどうすればいいかということを考えました。その一方で、ふみかという存在を忘れてはいけないという面もありました」

 ──自宅で練習したのですか?
 「自宅で練習しました。例えば、ふみかと工藤を、二人で演じれば、言葉を発した後の余韻があります。けれど、一人で二役を同時に演じるとなると、その余韻がありません。言葉を発した瞬間にもう一方に変わらなくてはいけない。その緻密さが難しくて、練習しているうちに頭がパンクしそうになりました。結局、撮影現場に入ってその時の熱量とパワーでやるしかない。考える作業とパッションでやる作業をやらせてもらえる作品でした」

 ──映画「ベイビーわるきゅーれ」シリーズ以来のアクションは、さらに磨きがかかった印象があります。
 「どう身体を動かしたらいいのか、少しずつ分かるようになってきました。撮影現場でスタントマン、スタントウーマンの動きを見ると、どこの筋肉が使われているのかがなんとなく分かるようになって、その筋肉を使えるようになりました」

 ──園村監督は「ベイビーわるきゅーれ」シリーズのアクション監督でもありますね。
 「『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』(昨年9月公開)のアクションシーンで園村さんに『練習して来たの!?』と言われたんです。その時、特に練習はしていなかったので微妙な気持ちになりましたが、私が他でレッスンを受けて来たと園村さんが思うくらい上達していたようなので、素直に喜ぶことにしました(笑)」

 ──「アクション俳優」への思いは?
 「上の存在です。スタントマン、スタントウーマンと関わっていると、尊敬しかありません。身近だけれど最も遠い存在かもしれない」

 ──「ゴーストキラー」の自分のアクションシーンを試写で見た感想は?
 「いい感じに見せてくれてありがたいです。カメラワークのおかげです。きれいに撮ってもらいました。一方で、はかなさも感じました。何十分にわたるシーンに臨むくらいの意気込みで必死に練習したのに、出来上がった映像ではたった3秒だったりする(笑)。それがアクションではありますが」

 ──作品全体の感想は?
 「今まで見たことがない作品が出来上がりました。試写の前は怖さを感じていましたが、試写が始まってすぐに観客として『なんだこの面白い作品は!』と思いました。園村監は試写前に『私は自信があります』と言っていましたが、私は試写後に園村監督に『私もです』と伝えました」

 ──役者としてのこれまでの歩みを振り返ってみてどうですか?
 「最高だったと思います。これからも最高なんだろうと思います。自分はラッキーな人間です。作品に恵まれ役に恵まれ1番は人に恵まれています。他人から見れば私の一歩一歩は小さな歩幅かもしれませんが、自分としてはそこからいろいろとたくさんのものを得られ、一歩一歩が大きかったです。人や作品に恵まれていることや自分がラッキーであることは、今の自分を変えず周りに感謝して作品に向き合っていれば、これからも続いて行くと思います。これまで焦る瞬間もたくさんありましたが、そういう瞬間も含めて『最高』という言葉にまとめさせてください」

 ──ヒロインを務める朝ドラ「ばけばけ」(NHK大阪放送局制作)の撮影が間もなく始まります。
 「本当に撮影が近づいて来ました。朝ドラヒロインは何よりもの夢だったので、発表された後も自分事ではない感覚だったんです。でも、大阪に行って衣装合わせをしたりスタッフのみなさんと何度も顔を合わせたりする中で、近づいて来ていることを実感しました。私の誕生日にはスタッフのみなさんから、お花と一緒に寄せ書きを頂きました。温かすぎるみなさんがいるから、遠ざけようと思っても無理なんです。その方々のおかげで私の中で朝ドラはずっとキラキラしています。今が一番いい気持ちかもしれません。小さい頃からの朝ドラヒロインの夢と、これまで一歩一歩積み上げてきた俳優としての気持ちを抱いて大阪に向かうことができます」

 ◇高石 あかり(たかいし・あかり)2002年12月19日生まれ、宮崎県出身の22歳。14年、avex主催のキッズコンテスト「キラットエンタメチャレンジコンテスト2014」で「ナルミヤオンライン賞」を受賞して芸能界入り。19年に俳優業を本格化させ、21年公開の映画「ベイビーわるきゅーれ」で初主演。今年に入り、ドラマ「御上先生」の生徒役や主演ドラマ「アポロの歌」などで注目された。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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