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重岡優大 再戦でジェルサエムの“見えない右”にまたも苦杯 1年ぶりの世界王座返り咲きならず

[ 2025年3月30日 19:51 ]

プロボクシングWBC世界ミニマム級タイトルマッチ   王者 メルビン・ジェルサエム(フィリピン)<12回戦>同級1位 重岡優大(ワタナベ) ( 2025年3月30日    愛知県国際展示場 )

<WBCミニマム級タイトルマッチ 重岡優大×メルビン・ジェルサエム>7R、スリップで倒れる重岡優大(左)(撮影・椎名 航)
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 前WBC世界ミニマム級王者で現同級1位の重岡優大(27=ワタナベ)が王者メルビン・ジェルサエム(31=フィリピン)に1年ぶりの再戦に0―3で判定負けし、王座返り咲きに失敗した。戦績は重岡が11戦9勝(5KO)2敗、2度目の防衛に成功したジェルサエムが27戦24勝(12KO)3敗。

 ベルトを失った因縁の愛知県で、宿敵に返り討ちにあった。前回も苦しめられた、飛び込んで打つジェルサレムの“見えない右”を上下に何度も叩き込まれた。重岡優も強気で打ち返したものの、4回には右ストレートをまともに浴びて腰が落ちた。

 4回終了時点の公開採点はジャッジ1人がフルマ-クの0―3と劣勢。接近戦でパンチをまとめても強烈な右一発で突き放され、主導権を握れなかった。8回以降はブロックしてからのカウンター狙いで立て直したが、劣勢を覆すまでには至らなかった。採点は109―119、112―116、110―118だった。

 昨年3月31日、2度目の防衛戦でジェルサレムに2度のダウンを奪われて判定負けし、王座から陥落。「あの日の悔しさは一日も忘れたことはない」と1年ぶりの世界挑戦に向け、徹底的に課題のディフェンス面を強化した。「これまではパンチのことばかり考えていた。ディフェンスにフォーカスして取り組めたのは手応えがある」。ステップワーク、ボディワーク、ブロッキング全ての精度を高めてきた。

 2月下旬からは約10日間、フィリピン・マニラ郊外で自身初の海外スパーリング合宿を敢行。単身武者修行でハングリー精神を養った。現地のエロルデ・ジムでは元WBOアジア・パシフィック・バンタム王者で、選手とコーチを兼任するジェトロ・パブスタン(35=フィリピン)とコンビを組んだ。「頼んでもないのに映像を毎日見せられた」と宿敵ジェルサエム対策を重ねたが、王者の技術がさらにその上をいった。

 次戦ではWBA&WBO統一世界ミニマム級王者オスカー・コラーゾ(28=米国)との統一戦も浮上していたが消滅。弟の前IBF同級王者・銀次朗(25=ワタナベ)が5月に世界戦を行うことも決定したが、勝利のバトンをつなぐことはできなかった。

 ▼ジェルサエム 優大選手は良い選手だった。まだ27歳だし、これからチャンピオンになれると思う。練習して優大選手に勝つことができたので、今度はコラーゾ選手と戦えるように頑張る。

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