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新型クラウンエステートとパサートを比べてみる!トヨタとVWのプレミアムステーションワゴンの価格・サイズ・ハイブリッドの違いは?

[ 2025年4月7日 13:00 ]

2025年3月13日(木)、トヨタから新型クラウンエステートが発売された。これで、クロスオーバー、スポーツ、セダンにエステートが加わり、現行クラウンのモデルラインナップが完成した。

奥からスポーツ、クロスオーバー、セダン、エステート。

そのスタイルはセダンの延長線上ではなく、ホイールアーチをブラックアウトしてクラッディング風に見せていたり、車高もセダン派生のステーションワゴンより高めで、むしろSUVテイストを感じさせる。

クラウンエステート
クラウンエステートの詳細はこちら

世界的なSUVの大流行により、そもそもセダンのラインナップが激減。セダンをベースにするステーションワゴンもそれに伴い減少している。特に日本市場と国産メーカーにおいては、クラウンエステートを除くと実質トヨタ・カローラツーリングとスバル・レヴォーグ(とレイバック)の2車種しか存在しない。

スバル・レヴォーグ
カローラ・ツーリング

というのも、スバル・レガシィアウトバックは2025年3月31日をもってついに販売終了。トヨタ・カローラフィールダーもついに2025年10月で生産終了とアナウンスされているからだ。また、長らくラインナップされていたマツダ6ワゴンが販売終了したのはもう1年前の2024年4月だった。

スバル・レガシィアウトバック
トヨタ・カローラフィールダー
マツダ MAZDA6 ワゴン
マツダ6ワゴン

そんな市場状況もあってか、クラウンエステートはハイブリッドの「Z」とプラグインハイブリッドの「RS」という2グレードに絞ってきた。価格も「Z」が635万円、「RS」が810万円とシンプルになっている。しかも、ドライブトレインはエンジンからモーターまで同じ形式ものを採用しているばかりか、駆動方式は電気式4WDのみでタイヤサイズにも違いはない。

ハイブリッド「Z」のドライブトレイン。
PHEV「RS」のドライブトレイン。

昨今の自動車価格の高騰を考えると”トヨタ”ブランドの高級車としては驚くほどの価格設定ではないが、それでもなかなかのプライスタグだ。
となると、やはり前出の国産ステーションワゴンは車格的にも価格的にもクラウンエステートとは異なるため、ライバルとはなり得ない。

クラウンエステート「Z」
クラウンエステート「RS」

ではクラウンエステートと比較するライバルとなるステーションワゴンは?となると、やはり未だプレミアムな立ち位置のステーションワゴンを多くラインナップする欧州メーカー車ということになろう。
そこでクラウンエステートとサイズや価格が近いステーションワゴンを比較してみよう。

VW(フォルクスワーゲン)

トヨタと常に世界最多生産台数を争う巨大自動車メーカー・フォルクスワーゲンアウディグループは傘下に上から下まで様々なブランドを抱えている点もトヨタと似ているが、本体のVWが基本的に大衆車メーカーであることは(高級車を別ブランドに任せている点も含め)トヨタと似たメーカーであるとも言える。

パサート

そんなフォルクスワーゲンも欧州で人気のステーションワゴンを古くからラインナップしている。基幹車種のゴルフと上位モデルのパサートに「ヴァリアント」と称して設定されるワゴンモデルがそれだ。

ゴルフRヴァリアントは712万9000円。

流石にゴルフヴァリアントでは、価格的にゴルフRヴァリアントなら釣り合うかもしれないが、サイズ的にクラウンエステートとは比較しづらい。やはり、VWの上位モデルにして、日本導入モデルとしてはトップとなるパサートが相応しいだろう。

パサート

パサートのステーションワゴンはこれまで通りならパサートヴァリアントになるはずが、9代目となる現行パサートはついにセダンが消滅。ワゴンボディのみになってしまったことから、ヴァリアントが付いていないのだ。さらに、以前は「オールトラック」というクロスオーバーモデルもあったが、現行モデルにはラインナップされていない。

パサートeHybridエレガンス

パサートのラインナップはガソリンエンジンが1.5L水冷直列4気筒DOHCインタークーラーターボ+マイルドハイブリッドの「eTSI」が524万8000円〜576万4000円、同エンジンにプラグインハイブリッドを組み合わせた「eHybrid」が655万9000円〜679万4000円、2.0L水冷直列4気筒ディーゼルターボの「TDI 4MOTION」が622万4000円〜645万8000円となっている。

クラウンエステート

これら3モデルの価格差は上位モデルの「R-Line」と基本モデルの「Elegance」の違い(「eTSI」のみエントリーグレード「Elegance Basic」を設定)で、さらにレザーシートやDCCなどの各種パッケージで価格が変動、というか上乗せされる。

パサートeHybridエレガンス
クラウンエステート

ボディサイズ

ボディサイズは全長4915mm(4930mm)×全幅1850mm(1880mm)×全高1500mm(1625mm)、ホイールベースは2840mm(2850mm)とパサートが若干小さいが、ほんの気持ち程度でサイズは車高を除けばほぼ等しい。
( )内クラウンエステート

パサートeHybridエレガンスは全長4915mm×全幅1850mm×全高1500mm、ホイールベース2840mmというサイズ。
クラウンエステートは全長4930mm×全幅1880mm×全高1625mm、ホイールベース2850mmというサイズ。

1500mmという車高はドイツ御三家のステーションワゴンよりもやや高め(メルセデス・ベンツCクラス・オールテレインでも1495mm)だが、クラウンエステート(1625mm)に比べればまだまだ低い。最低地上高は公表されていないが、おそらく140mm内外と予想される。これもクラウンエステート(165mm〜175mm)よりは低く乗用車的だ。

パサートeHybridエレガンス
パサートeHybridエレガンス
クラウンエステート
クラウンエステート

タイヤサイズは全車235/45R18と常識的なサイズで、クラウンエステートの235/45R21という大径ホイールと比べると小径に感じる。
最小回転半径は駆動方式に関わらず全車5.5mとクラウンエステートと同じ。ボディサイズがほぼ近似値による相似だろうか。

パサートは全車235/45R18というサイズ。やや幅広感はあるが、昨今では常識的な範疇。
クラウンエステートは235/45R21。同じ235幅45扁平だが、ホイールは21インチの大径。

ドライブトレイン

パサートのエンジンは前述の通り、ガソリンエンジンが1.5L直列4気筒インタークーラーターボのマイルドハイブリッドかプラグインハイブリッドと、2.0L直列4気筒ディーゼルターボの3種類。

1.5Lターボエンジンが150ps/5000-6000rpm・250Nm/1500-4000rpmで、マイルドハイブリッドは13kW・56Nm、プラグインハイブリッドは85kW・330Nmが加わる。ディーゼルは193ps/3500-4200rpm・400Nm/1750-3250rpmだ。
クラウンエステートに搭載される2.5L水冷直列4気筒DOHCガソリンエンジンは190ps/6000rpm(130ps/6000rpm)・236Nm/4300-4500rpm(219Nm/3600rpm)を発揮。2つのモーターと組み合わせる電気式4WDを採用する。モーターの出力はフロントが134kW・270Nm、リヤが40kW・121Nm。システム総合出力は243ps(306ps)となる。写真はPHEVの「RS」。
( )内は「RS」

また、4WDモデルはディーゼルエンジンの「TDI 4MOTION」のみで、「eTSI」と「eHybrid」はFFとなる。トランスミッションはハイブリッド車(「eTSI」「eHybrid」)が7速DCT、ディーゼル(「TDI」)が6速DCTだ。

インテリア

インストゥルメントパネルは最新VW車のフォーマットに則ったレイアウトで、メーターも含め新世代のMIB4と大型ディスプレイによるインフォテインメントシステムが特徴だ。物理スイッチを極力少なくなっており、センターコンソールもステアリングコラムにドライブセレクターを設置することでパーキングスイッチくらいしかないほど徹底されている。

メーターはもちろんディスプレイだが、何よりセンターコンソールの大型ディスプレイの存在感が際立っている。シフトレバーは無く、ドライブセレクターをステアリングコラムに配置するため、センターコンソールは蓋付きのドリンクホルダーとワイヤレス充電機能付きの収納スペース、小物入れなどで占められている。
如何にもコンサバに見えるクラウンエステート。ドライブセレクターはレバー式だし、種々のインターフェースも物理スイッチがほとんど。メーターはもちろん液晶だが、メーターフードを持たないパサートに比べると保守的で、逆にそれが安心感でもある。

ラゲッジルームは通常で690L(510L)、最大まで拡大すると、なんと1920L(1770L)の容量(VDA法)を誇る。同程度のボディサイズながらクラウンエステートの570L〜1470Lを大きく上回るばかりか、クラス最大級のサイズと言える。リヤシートも6対4分割のクラウンエステートに対し、欧州車では定番の4対2対4分割となっている。
( )内は「eHybrid」

通常時690L〜拡大時1920Lという圧倒的な容量。「eHybrid」のみバッテリー搭載スペースの関係で通常時510L〜拡大時1770Lとなる。通常時こそ及ばないまでも拡大時はクラウンエステートを大きく上回っている。リヤシートは4対2対4分割。
クラウンエステートのラゲッジルーム。通常で570Lと大容量を確保。
シートは6対4分割で拡大時の容量は1470L。拡大時のフロアは3シリーズよりフラットに見える。

燃費

車重はクラウンエステートの「Z」(1890kg)と「RS」(2080kg)に対して、FF+マイルドハイブリッド「eTSI」(1570g)、ディーゼル+4WD「TDI 4MOTION」(1740kg)、FF+プラグインハイブリッド「eHybrid」(1830kg)といずれも軽量。ただし、クラウンエステートは基本的に電気式4WD+ハイブリッドなので、その組み合わせがないパサートはその分軽量ということだろう。「eHybrid」に4WDがあればクラウンエステート「Z」と同じくらいになるのではないだろうか。

パサートeHybridエレガンス

燃費は「eTSI」が17.4km/L、「TDI 4MOTION」が16.4km/L、「eHybrid」が18.0km/Lとまずまずの数値ではあるが、クラウンエステートの「Z」20.3km/L、「RS」20.0km/Lには及ばない。やはりハイブリッドではトヨタに一日の長があるようだ。
※いずれもWLTCモード

パサートeHybridエレガンスに搭載される充電ケーブル。

燃料タンク容量(クラウンエステート: 55L/パサート「eTSI」「TDI」:66L/「eHybrid」:47L)で単純計算すると航続距離はクラウンエステートが1100kmを超えるの対して、パサートもは「eTSI」と「TDI」は 1100km前後と良い勝負。しかし、プラグインハイブリッドの「eHybrid」となると逆に800km台に留まり、燃費よりもタンク容量が航続距離に大きく影響している。
また、パサートのガソリンエンジンは燃料がハイオクであることも経済的には厳しい点だ。

パサートにチャージモードは無いが、回生は強弱の設定が可能になっている。

逆にクラウンエステート「RS」のEV航続距離が89kmなのに対し、パサート「eHybrid」は140kmを実現している。ただし、クラウンエステートにあるチャージモードは、パサートには無い。この点はメーカーの考え方の違いといったところか。この辺りが実燃費にどのように影響してくるかも興味深い。

価格&スペック表

価格的には524万8000円(「eTSI Elegance Basic」)〜679万4000円(「eHybrid R-Line」)とクラウンエステートの635万円〜810万円よりやすく、「ehybrid」がクラウンエステート。「Z」と重なるくらい。マイルドハイブリッド同士であればパサートが150万円ほど安いが、クラウンエステートが4WDなのに対しパサートはFFという違いがある。

パサートeHybridエレガンス
パサートeHybridエレガンス
クラウンエステート
クラウンエステート

駆動方式を軸に考えるとディーゼル+4WDの「TDI 4MOTION」が622万4000円〜645万8000円とクラウンエステート「Z」が価格的にも近い。ディーゼルの経済性を考慮すると、マイルドハイブリッドよりも比較対象としてはむしろこちらの方が合っているかもしれない。

パサートeHybridエレガンス

大衆車メーカーのプレミアムステーションワゴン同士ながら、そのラインナップやキャラクターはかなり違うクラウンエステートとパサート。パサートにオールトラックが追加されたり、ハイブリッド系に4WDが設定されるようならまた見方も変わってくるのだが……。

メーカー トヨタ フォルクスワーゲン
車名 クラウンエステート パサート
グレード Z RS eTSIエレガンス TDI4MOTIONエレガンス eHybridエレガンス
全長 4930mm 4915mm
全幅 1880mm 1850mm
全高 1625mm 1500mm
ホイールベース 2850mm 2840mm
車重 1890kg 2080kg 1570kg 1740kg 1830kg
最低地上高 175mm 165mm
最小回転半径 5.5m 5.5m
乗車定員 5名 5名
トランク容量 570L〜1470L 690〜1920L 510〜1770L
エンジン A25A-FXS型
水冷直列4気筒DOHC
DXD型
水冷直列4気筒DOHCインタークーラーターボ
DXN型
水冷直列4気筒ディーゼルターボ
DUC-EAN型
水冷直列4気筒DOHCインタークーラーターボ
排気量 2487cc 1497cc 1968cc 1497cc
最高出力 190ps/6000rpm 130ps/6000rpm 150ps/5000-6000rpm 193ps/3500-4200rpm 150ps/5000-6000rpm
最大トルク 236Nm/4300-4500rpm 219Nm/3600rpm 250Nm/1500-4000rpm 400Nm/1750-3250rpm 250Nm/1500-4000rpm
燃料/タンク容量 レギュラー/55L ハイオク/66L 軽油/66L ハイオク/47L
WLTC燃費 20.3km/L 20.0km/L 17.4km/L 16.4km/L 18.0km/L
サスペンション F:マクファーソンストラット
R:マルチリンク
F:マクファーソンストラット
R:マルチリンク
ブレーキ F・R:ベンチレーテッドディスク F:ベンチレーテッドディスク
R:ディスク
タイヤサイズ 235/45R21 235/45R18
駆動方式 電気式4WD FF 4WD FF
トランスミッション 電気式無段変速機 7速DCT 6速DCT 7速DCT
モーター F:5NM
R:4NM
4452 BATTYPV85
最高出力 F:134kW
R:40kW
13kW 85kW
最大トルク F:270Nm
R:121Nm
56Nm 330Nm
電池容量 5Ah 51Ah 0.7kWh 25.7kWh
価格 635万円 810万円 553万円 624万円 655万9000円
パサートeHybridのインプレッションはこちら

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2025年4月7日のニュース