NHK朝ドラ「おむすび」最終回 ラストが結と雅美のシーンになった理由

[ 2025年3月28日 08:15 ]

連続テレビ小説「おむすび」最終回の結(橋本環奈)と雅美(安藤千代子)のシーン(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】3月28日放送のNHK連続テレビ小説「おむすび」最終回のラストは米田結(橋本環奈)と三浦雅美(安藤千代子)が公園のベンチで一緒におむすびを食べるシーンだった。

 制作統括・宇佐川隆史さんは「温かいおむすびにこだわりました。あのおむすびは本番直前に現場近くで握ったものです。冷たいおむすびでも演技で『温かい』と言うことができますが、お二人に本当に温かいものを食べてもらいたいと思いました」と振り返る。

 この物語の中で結と雅美の関係は深い。阪神淡路大震災で米田家が被災した時、避難所におむすびを差し入れたのが雅美だった。まだ幼かった結はそのおむすびを口にすると「おばちゃん、これ冷たい、チンして」と言ってしまい、そのことを後に長く悔いることになった。

 もう一人の制作統括・真鍋斎さんは「結の原点です。彼女はずっとそれを気にしながら生きて来て、あの時のおばちゃんのその後を考え、探せるものなら探そうと思った。糸島からまた神戸に出て来て、やがて探し当て、毎年1月17日に会うようになったのでしょう」とラストシーンへの経緯を説明する。

 あの場面は柔らかで温かい。公園で結が「雅美さん」と声をかけると、雅美は「ああ、結ちゃん」と笑顔を見せる。二人はベンチに座り、結が食品保存容器に入れたおむすびを差し出すと、一つ手に取った雅美は「まだ温かいね」と感想を漏らす。

 真鍋さんは「さりげない感じがいいと思いました。実は編集の段階では避難所の回想シーンが入っていたのですが、説明が少ない方がいいと思い、やめました。短いけれど、こだわったシーンです。二人がこの場所で何年か待ち合わせして会っていたという雰囲気が出たと思います」と語る。

 宇佐川さんによると、雅美役の安藤は「この人にとって、結ちゃんが会いに来てくれたのは本当にうれしいことでしょうね。なぜなら、私がうれしいからです」と自らの出演を喜んでいたという。

 安藤は兵庫県出身で、阪神淡路大震災で被災し、震災の語り部として活動する俳優として知られている。

 ラストシーンで雅美が「おいしい」と言うと、結は「良かった」と幸せそうな笑みを浮かべる。そして、ベンチに並んで一緒におむすびを食べる二人の後ろ姿を遠くから捉えた場面で、この物語は幕を閉じる。

 宇佐川さんは「結が自分の人生の礎になった人への感謝の気持ちを表し、これからもこうやって生きて行くという思いを表すシーンをラストにすることができて、うれしいです」と思いを明かした。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。

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