藤井聡太王位、佐々木七段に先勝 史上初「全8冠独占」へあと8勝 王位戦第1局第2日

[ 2023年7月9日 04:30 ]

王位戦第1局2日目で97手で勝利した藤井聡太王位(日本将棋連盟提供)
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 将棋の藤井聡太王位(20)=王将、竜王、名人、叡王、棋王、棋聖含む7冠=に佐々木大地七段(28)が挑む第64期王位戦7番勝負第1局は8日、愛知県豊田市の豊田市能楽堂で2日目が指し継がれ、97手で先手藤井が勝利した。両者は棋聖戦でも5番勝負の最中で、棋聖戦では藤井が2勝1敗で4連覇へ王手をかける。史上初の全8冠独占へ、あと8勝とまたカウントダウンは進んだ。

 本格的な戦いは2日目の午後4時過ぎに始まった。70手目以降、盤面中央で駒がぶつかり、83手目で佐々木飛車を確保。97手目で七段目へ成り込んだと金を自陣へ引き付けた。

 藤井王の上部を支える、勝利宣言。19分考えた佐々木は次の手を指すことなく、投了を告げた。

 「早い段階から経験のない形になった。どうすればいいか分からないところが多かった」

 戦型は後手佐々木の誘導で横歩取りになった。対戦は8度目で過去7局の内訳は、相掛かりが5局で角換わりが2局。初の横歩取りに、会場を訪れた勝又清和七段(54)は「佐々木七段の隠し玉です」と指摘した。

 藤井にとって、横歩取りは20年10月以降、先手で13連勝中だが通算では18勝7敗、勝率・720。もちろん高い勝率だが昨年度、先手番で33勝2敗の・943を残した史上2人目の7冠にとっては不得意戦型ですらあった。

 後手番からブレークを狙った佐々木の準備に、「こちらの序盤の構想ミスを適切にとがめられた。飛車を取れて少し好転していてもおかしくないと思ったが、佐々木七段の力を感じた」。17手目から前例が消滅した将棋を制し、充実感と疲労感をにじませた。
 ここ2期、豊島将之九段(33)を挑戦者に迎え、共に4勝1敗で制したがその第1局は落とした。名古屋市、犬山市開催といずれも愛知県対局とあって、前日会見では「最初からしっかり集中して臨みたい」と自虐的に笑った。瀬戸市出身、在住で、隣接自治体でのタイトル戦は名古屋市に続く2カ所目。4勝3敗の名古屋市に続いて凱旋を飾った。

 王位防衛への3勝と棋聖防衛への1勝。さらに豊島将之九段との王座戦挑戦者決定戦、それに勝てば永瀬拓矢王座(30)との5番勝負を制する3勝。全8冠独占への勝ち星は、8にまで減った。(筒崎 嘉一)


 ≪佐々木善戦も、ミスが反省点≫ 2日制対局初登場で善戦した。2日目夕方までほぼ互角の攻防を落とした佐々木は、「序盤は何とか乗り切った感じ。2日目、細かいミスが出たのが反省点です」と振り返った。後手横歩取りの戦型選択に手応えを示しつつ、「勝負どころを逃さないように」と自らの課題も指摘。持ち時間8時間への対応を見つめ直し、13、14日、神戸市での第2局に備えていく。

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