新型ムーヴ発進! 2年の空白期間をはさんで生まれた新しい7代めは、リヤスライドドアに大変身! 【新型ムーヴ、本日6月5日発表・発売】

ついにリヤスライドドアになって乗り降りがスムースに、機種体系もスリムに
初代ムーヴの登場は1995年8月だから、タフトやロッキーのような復活名称のクルマを除けば、いまのダイハツラインアップの中では充分ベテラン選手の部類に入る。
もっとも今回の7代目ムーヴも「復活」で、本来ならいまから約2年前、2023年夏の登場を予定していたが、その少し前の春に発覚した不正認証問題のあおりを受け、ほとんど完成してスタンバイ状態にあったのに、発表も発売も中止されていた。
6代目はバトンタッチする相手もなく販売終了したから、ダイハツラインアップの中で、ムーヴの場所は長らく空席のままだった。
それがなければいまごろは2回ぐらいの改良を迎えていたはずだ。
2025年6月5日、長い難産の末、7代目に生まれ変わった新型ムーヴである。

バリエーションと車両本体価格
当初の予定がどうだったのかは知らないが、今回の新型は機種体系がだいぶリストラされた印象がある。
長らく「ムーヴ」「ムーヴカスタム」と2本立てだったシリーズが「ムーヴ」に集約された。
ただし、ターボモデルは外すわけにはいかないということで、「カスタム」の中のターボモデル「RS」だけはシリーズに残されている。
したがって、機種体系は安いほうから「L」「X」「G」「RS」の4つ。
それぞれに2WDと4WDがあるから、車両価格での類別はトータル8機種になる。
全機種、無段変速のCVTであることはいうまでもない。
先に価格の話をしてしまうと、2WDはいちばん安い「L」の135万8500円から「RS」の189万7500円まで、4WDは148万5000円の「L」から、ついぞ200万円を超える「RS」の202万4000円までの範囲にある。
各機種の車両本体価格は次のとおりだ。
★新型ムーヴ車掌本体価格(全機種CVT)
<2WD>
L : 135万8500円
X : 149万0500円
G : 171万6000円
RS : 189万7500円
<4WD>
L : 148万5000円
X : 161万7000円
G : 184万2500円
RS : 202万4000円
エントリーモデルの新旧「L」同士を比べると、旧型(末期型)の113万5200円から22万円強値上がりしているが、これは見かけ上の話で、旧「L」がスマートアシストIII(SAIII)のない本当の廉価モデルだったのに対し、新型は時代を反映してSAが全機種標準化されたことの影響。
旧「L”SAIII”」が120万1200円だったから、実質15万円ほどの値上げとなる。それでも小さくないが。
スタイル
ムーヴの新旧比較はのちほど別記事で展開される手はずになっているからそちらをごらんいただきたく。
ただ、今回の新型7代目ムーヴは、いま売られているムーヴ・キャンバスを引き合いに出さないと話を進めにくいクルマになっている。
その理由は後で述べるとして・・・
今回は大変わりに変わって、リヤドアがこれまでのヒンジ式からスライド式に改められた。
いまや軽市場もタントやスペーシアのようなスーパーハイト型が主流で、いずれもスライド式のリヤドアを持つ。
ミライースやアルトのようなコンベンショナルなセダン型とスーパーハイトとの間(はざま)で、あれほどヒットしたムーヴやワゴンRなどのトール型が、ここ数世代どっちつかずに映るようになり、ポジションニングが不明瞭になっていた。
ムーヴやワゴンRにもリヤスライドドアをという需要に応えるムーヴ・キャンバスやワゴンRスマイルだったろうが、このモデルチェンジで本家のムーヴもリヤスライドドアを持つことになった。


ここでムーヴ・キャンバスの登場だ。
旧型ムーヴの車両型式はLA150S/160S、新型はLA850S/860S・・・実は今回の7代めムーヴは、いま販売中の2代目ムーヴ・キャンバスと車両型式がまったく同じなのだ。
ならばメカ母体も同じわけで、新型ムーヴは、現行ムーヴ・キャンバスの着せ替え人形・・・といったらいい過ぎだが、少なくとも同じ血筋に組み込まれた。
新型のサイズは現行キャンバスと同じ、全長×全幅×全高=3395×1475×1655mm・・・制約の大きい軽自動車枠の中で、唯一自由度のある全高すらまったく同じなのだ。2460mmのホイールベースもキャンバスと同一である。
これほどキャンバスと共通項の多い新型ムーヴなら、リヤドアのスライド化は、むしろ当然の至りなのだ。
しかしながらスタイリングにキャンバスを思わせるところは微塵もなく、きちんと「ムーヴ」になっているのは立派だ。
新型ムーヴと現行キャンバスの間柄は、タイヤ前後を合わせたサイド視で見るとわかる。

一見、ムーヴのほうが、フードが長く見えるがこれは目の錯覚。
まずキャンバスではラウンディッシュだったフロントガラスが、新型ムーヴでは一般的な曲率になって真横から見える量が少なくなり、後傾角も大きくなったのが錯覚の要因だ。
だがよく見ると、横のサブガラスを抱えるフロントピラーとサブピラーも、上端同士の間隔を詰めながら後退しているだけで、根元位置はほとんど変わっていない。
だからフロントガラスは上端(=ルーフ前端)が吊られて後退し、傾斜が大きくなっただけだ。
ここがムーヴのほうがフードが長いと錯覚させ、かつ、骨格がキャンバスと同じ(?)であることを匂わせる証拠にもなっている。
ただ、ドアパネル位置も変わっていないから(正確には変えようがない)、キャンバスで平行四辺形に近かったサブガラスがドア枠との間でかなり細長い三角形になってしまっている・・・このへん、キャンバスの骨格をそのまま用いたことの無理が出ているようで、このガラスが運転視界補助に寄与するかどうか。
フードからバックドアパネルまで、まるで定規をあてたようにまっすぐなウエストラインなのがキャンバス。
ムーヴはリヤドア通過直後からハネ上がることで、クオーターパネルがリヤピラーの下2/3を受け持っている。
このような手法は他のクルマででも見かけるが、ムーヴの場合はここがまるでサメの背びれか旅客機の垂直尾翼を思わせ、外観のひとつの特徴になっている。

ドアはプレスドアだし、デザインも違うからパーツとしてはキャンバスと別物だが、スライドドア上半分を見る限り、窓枠もガラスもキャンバスと同じ面形状のようだ。
おそらくインナーパネルや内部構造も同じだろう。
だからこそ苦労したのではと思われるのがリヤボディだ。
キャンバスの屋根は全体的にフラットだが、ムーヴは全高1655mmのポイントをサンバイザーの上あたりに定められ、そこからゆるやかな後ろ下がりになっている。
それでいてスライドドアのボディ側レールは、3本とも高さを変えてはいけないから、アッパーレールと下がってくるルーフとの成立にミリ単位の苦労があったのではないかというわけだ。
ここはさきのサブガラスと違って無理が感じられず、スタイリングに不自然さを抱かせる点はまったくない。
うまく仕上げられていると思う。
サイドの話から始めてしまったが、次はフロントフェイス。
ライトとグリルが収まる逆台形エリアにボディカラーのバーを1本浮かせているほか、バンパー側やグリル&フォグランプまわりは台形やら三角形やらをなしており、遠目にはがっちり頑丈な「X」字となる顔になっている。
少々煩雑に感じられなくもないが、そういえばさきのリヤピラーもシャークフィン型だし、サイドドア裾のプレスも前後で台形を描いているから、こんどのムーヴのエクステリアデザインは、台形や三角形、斜めのラインがテーマのうちのひとつなのかも知れない。
なお、先代は標準シリーズとカスタムシリーズとで、顔は別に造り分けれていたが、新型はL/X/GとRSとで統一されている。


後ろにまわってリヤは、くの字というか、ブーメラン型をしたランプを中腹にレイアウト。
発光部位は完全に後ろを向いていてコーナー部分は光らず、黒く塗られているだけだ。
被視認性を考えると横方向も赤レンズにして光をまわり込ませた方がいいと思うが、ここがリヤピラーのシャークフィン型を強調する部分でもある。
リフレクターはバンパー側に。この周囲も三角形だし、バックドアパネルのプレスも斜めだ。
そのバックドアはオーソドックスな上ヒンジの下開き式。キャンバスと違ってナンバープレートがバックドアにつくから後ろ姿の印象もキャンバスと大きく異なる。


こう見ると、型式が同じだから着せ替え人形といいたくなるのであって、実際のスタイリングは、多少の制約は見られるものの、見た目の印象をキャンバスから極力遠ざけ、どこから見ても「ムーヴ!」になることに努めたことがわかる。
ここはデザイナーの手腕を称えてしかるべきだろう。
内装
インテリアもキャンバスからかけ離れている。
空調吹出口やコントロールパネル、シフトなどの位置関係は同じだが、これは長らくダイハツFF軽一連に共通していることで、何もムーヴとキャンバスに限ったことではない。
インストルメントパネルの造形に目をやると・・・
ハンドル周辺以外、手前を上面から1段落とした低いトレイにし、開放感を打ち出したのがあちらキャンバスの計器盤だった。
化粧パネルのカラーリングもパステル調にし、幼児のプレイルームの雰囲気さえ漂う。
こちらムーヴはむしろ正当な軽セダンの姿を志向したようで、解放感よりは重厚さを狙っているように映る。トレイは助手席前と空調吹出口下、2か所に分けられて深めのポケットに置き換わっている。
色使いもシックで、キャンバスのターゲットユーザーのメーンが若いママなら、こちらムーヴは老若男女、お気に召すならどなたでもという感じ。
だからといって、見てつまらない造形でないのもいい。奇をてらった強烈な特徴はないし、ないほうがいいが、つまらなくもない・・・そんな中庸なデザインを求める層には受け入れられるだろう。
好み次第だが、メーターがこの頃出てくる新型車にしては全面液晶ではなく、本当の指針アナログ式なのがいい。
ただし回転計が備わるのはGとRSだけだ。


室内寸法は、長さ×幅×高さ:2140×1335×1270mm。
これはキャンバスより40mm短く、10mmせまく、5mm低い。
「短い」とか「せまい」と書いたが、キャンバスを横に置いても気づかないような違いに過ぎず、実用上まったく困らないだろうが、揃えようと思えば揃えられたはずなのに、いくらか差をつけたのは、小さなバスのイメージのキャンバスの顔を立てたのだろうか?


バスといえば、バスに見えるキャンバスよりもムーヴのほうが、バックドアガラスが立っているのが、イメージと裏腹でおもしろい。
屋根まで荷を積むほどのフル積載など、軽ユーザーはめったにしないだろうが、最後の最後のあとひとつ! が載るか載らないかの差は、この傾斜角の差が決めることだろう。
ボディカラー
ティザーサイトで車体色だけは明らかにされていたから、ムーヴファン&新型購入予備軍は先刻ご承知だろう。
モノトーンが10種。これら10色のうちのいくつかを組み合わせ、ルーフとボディ下半身を塗り分けた2トーンが3種・・・トータル13バリエーション展開。いまどきのクルマでは多いほうだ。
ほとんどの色が他のダイハツ車何かしらで使われているクルマから持ってきている中、唯一「グレースブラウンクリスタルマイカ」がダイハツ新色だ。
この「グレースブラウンクリスタルマイカ」と組み合わされるルーフカラー「スムースグレーマイカメタリック」は2トーン専用でモノトーン10色には含まれない。
エンジン
車両型式が同じなら持っているエンジンバリエーションも変わらない。
搭載エンジンはいまのキャンバスと同じKF型で、3気筒12バルブのDOHC。RSはインタークーラー付のターボだ。
自然吸気が最大出力52ps/6900rpm、最大トルク6.1kgm/3600rpm。ターボが同じく64ps/6400rpm、10.2kgm/3600rpmなのもキャンバスと変わらない。
以上、本日発表の新型7代めムーヴの内容について、かけ足の速報としてお伝えした。
冒頭で述べた5月半ばのティザー開始と同時に予約も受け付けられており、この3週間ほどの間に、クルマを見る前に成約したひともいるという。
いまやトール型がセダン型といってもよさそうな軽乗用車市場だ。
そろそろ新しいムーヴにしようかと考えている現行ユーザー、大きいサイズから軽自動車に乗り換えようかと検討中の方には1台候補が表れた形だ。
新しいムーヴの発売は本日6月5日。
実車を見たい方、おそらく今週末の6月7日(土)、8日(日)には店頭に並ぶはずだ。
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