ホンダシビックが売れないのはトヨタプリウスのせい!? 400万円級の国産ハイブリッドハッチバック対決

[ 2025年3月8日 15:00 ]

HONDA CIVIC
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TOYOTA PRIUS

どちらもスポーティな外観とクーペのようなルーフラインが特徴だ。デザインの先進性では近未来的なプリウスの特徴的な内外装が目を引くが、両車のディメンションはよく似ている。

室内空間や荷室の広さはほぼ同じだ。強いていうなら各部はシビックのほうがほんのわずかに広くなっている。

後席の乗降性もドア開口形状の違いはあるが、使用感はおおむね同じといえるだろう。ただし、大きく傾斜したAピラーを持つプリウスは、前席の乗り降りの動作に慣れるまでに時間がかかるかもしれない。

後席にエアコン吹き出し口があるのはシビックの強みだ。対するプリウスはAC100Vコンセントが全車標準装備となるメリットがある。そのほか、最小回転半径はシビックの5.7mに対して、プリウスは5.4mとなっており小回りが利く。

ホンダシビック e:HEV EX
ボディサイズ＝全長4560mm×全幅1800mm×全高1415mm
ホイールベース＝2735mm
車両重量＝1490kg
タイヤサイズ＝235/40R18（前後）

トヨタプリウス Z
ボディサイズ＝全長4600mm×全幅1780mm×全高1430mm
ホイールベース＝2750mm
車両重量＝1420kg
タイヤサイズ＝195/50R19（前後）

両車はパワートレインの性能もほぼ互角となる。どちらも2L直列4気筒エンジンにハイブリッドシステムが組み合わされる。

シビックは184ps／315Nmのモーターを主体として走行し、高速域ではエンジンの駆動力でタイヤを回転させる「e:HEV」を搭載。対するプリウスはエンジンと113ps／206Nmのモーターを状況に応じて使い分ける「THS-II」だ。

両車のシステム最高出力はシビックがおおよそ214psで、プリウスが196psと大きな差はない。ただし、WLTCモード平均燃費はシビックの24.2km/L（e:HEV EXグレード）に対し、プリウスは28.6km/L（Zグレード）と小さくない差がある。

加えて、プリウスは4WDが選べる点もアドバンテージとなる。FFのみとなるシビックは、ハイブリッドカーながら擬似的な変速動作でエンジン車のように制御演出がなされる「スポーツe:HEV」が持ち味だ。

実用性の観点で優劣をつけるとすれば、プリウスの方がパワートレインの総合力は上といえるだろう。

ホンダシビック e:HEV EX
エンジン形式＝直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量＝1993cc
最高出力＝141ps/6000rpm
最大トルク＝182Nm/4500rpm
トランスミッション＝電気式CVT
駆動方式＝2WD（FF）

トヨタプリウス Z
エンジン形式＝直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量＝1986cc
最高出力＝152ps/6000rpm
最大トルク＝188Nm/4400〜5200rpm
トランスミッション＝電気式CVT
駆動方式＝2WD（FF）

最上級グレード同士の価格を比較するとシビックの方が約60万円高い。ハイブリッドモデルのスタートプライスで比較しても、シビックの「e:HEV LXグレード」が399万8500円からであるのに対し、プリウスの「Gグレード」は320万円からとさらに大きな差がある。

スペックと価格だけの比較ならプリウスの圧勝といえそうだ。ただし、両車はスペックに現れない部分もしっかりと作り込まれており、その点ではシビックのほうが光る部分が多い。シビックの価格は確かに高いが、それに見合う価値がしっかりと備わっている。

しかし、シビックの最上級グレードに対して30万円多く支払えば、プリウスのPHEVモデル（460万円）が手に入る。しかもプラグインハイブリッドカーならCEV補助金が適用可能だ。シビックとプリウスは、クルマのスポーツ性と実利性のどちらを優先するかが問われる2台となりそうだ。

角田裕毅

東京オートサロン

佐藤琢磨