浜田剛史氏 井上尚弥KO量産の理由とは…5・5ベガス決戦で「褐色の爆撃機」超え狙う
世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチ 統一王者・井上尚弥《12回戦》WBA1位ラモン・カルデナス ( 2025年5月4日 米ネバダ州ラスベガス T-モバイル・アリーナ )

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世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥は、4日(日本時間5日)のカルデナス戦で、「ブラウン・ボマー(褐色の爆撃機)」と呼ばれ1930~40年代に活躍した元世界ヘビー級王者ジョー・ルイス(米国)が持つ世界戦最多KO勝利数「22」を塗り替える世界戦23度目のKO勝利を狙う。井上はなぜ、軽量級にもかかわらず世界戦でKO勝利を積み重ねられるのか。スポニチ本紙で解説を務める浜田剛史氏に聞いた。
KO勝利には大きく2つのパターンがある。1つは「強打者」であることで、これは前半でのKOが多い。2つ目はタイミングや隙を突くなど「うまい」ことで、こちらは時間をかけるため後半のKOが多くなる。井上は、両方を持つ、ずばぬけた存在といえる。
ルイスは典型的な強打者で、ヘビー級はパワーがないと勝てない。軽量級はスピードが命だが、両方を持つ井上に対し、相手はスピード封じでロープに詰めるなどの作戦を立てても、打ち合っても強いため、勝てる要素がない。カルデナスは基本に忠実なうまい選手だが、全てで上回る井上のKO勝利の確率は相当、高いだろう。
技術的に井上の強さを解き明かすと、まずジャブの速さと強さが挙げられる。KOを狙うとジャブを省略して大振りになる選手が多いが、井上は必ずジャブを使う。高い確率で当たり、しかも強いため、相手はジャブに気を取られ、次のパンチをよけられない状況になってKOが生まれる。
もう一つは、本能的ともいえる対応力だろう。試合をしながら、空いている場所を瞬時に見つけ、タイミングよく、急所にパンチを打つ判断力がある。その際は、右のダブル、ワンツーからのアッパーなど、スムーズなコンビネーションに切り替える。これは、練習で身に付けたというより、本能的な対応力が大きいだろう。
井上の圧倒的な強さは、世界の流れも変えつつある。5階級を制覇したフロイド・メイウェザー(米国)の登場で、「打たせなければ勝てる」と、世界の風潮が変わった。採点基準もそちらに傾いていたが、井上のKOにこだわる考え方、さらに狙ってKOできる実力によって「昔も今も喜ばれるのはKO」という流れに戻りつつある。
本来、統括団体は統一戦を好まないが、井上は2階級で4団体を統一した。この強さは、判定勝利の中に技術の優劣を見いだす1割の関係者だけでなく、9割の一般ファンの心にも大きく響く。ネット時代に、国境を超えて高く評価され、統括団体も動かざるを得ないカードを実現させてきたのは、KOを喜ぶ一般ファンの声の後押しがあったからだ。今回のラスベガスでも、大きな注目を集めるだろう。(元WBC世界スーパーライト級王者)
▽ジョー・ルイス 1914年生まれ、米アラバマ州出身。37年にブラドック(米国)に8回KO勝ちして世界ヘビー級王座を獲得。以後、現在も世界記録の25連続防衛。世界戦26勝。22KO勝利も世界記録。ジャック・ジョンソン以来黒人2人目の世界王者で、「ブラウン・ボマー(褐色の爆撃機)」と呼ばれた。81年に66歳で死去。
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