「最近トイレが近い…」男性の尿トラブルに効く骨盤底筋スクワットのやり方

トイレの回数が増えたり、尿漏れの不安が高まったり……それはもしかしたら加齢による尿トラブルかもしれません。男性ホルモン「テストステロン」が減少することで、排尿のコントロールに影響が出る場合があると、産婦人科医・沢岻 美奈子先生は言います。
そんな尿トラブルの改善を期待できるのが、骨盤底筋スクワットです。力の入れ方がわかりにくい「骨盤底筋」について、初心者でもわかりやすいようにイラスト付きで解説します。
取り組み方次第で尿トラブルの改善だけでなく、姿勢や体幹の強化にもつながる骨盤底筋スクワット、日々の習慣にしてみてください。
男性ホルモンの減少で起こる、頻尿や尿漏れ症状
男性ホルモンの中でも特に重要なテストステロンは、加齢とともに徐々に分泌量が減少します。
テストステロンの減少は、筋肉量の低下や体力の衰えだけでなく、膀胱や排尿を調整する神経機能に影響を与えやすいとされています。結果として、トイレが近くなったり、尿漏れのリスクが高まったりしやすくなります。
また、中年以降は前立腺肥大により排尿障害が増加する傾向があります。前立腺自体が大きくなることで尿道が圧迫され、頻尿や残尿感が起こりやすくなります。こうした変化は自覚症状が出にくいこともあり、気づかないうちに状態が進行している場合があるため、注意が必要です。
尿トラブル対策に骨盤底筋トレーニングは有効
尿トラブルを防ぐためには、早めに対策を始めることが大切です。特に骨盤底筋を鍛えることは、排尿のコントロールをサポートするうえで有益と考えられています。
加齢による男性ホルモンの減少にあらがうためにも、適度なエクササイズを取り入れた生活習慣に整えてみましょう。
次:骨盤底筋を鍛える効果、デスクワークや運動習慣のない人も注意を
膀胱を支える「骨盤底筋」を鍛える効果とは
骨盤底筋は、骨盤内の臓器を下から支えるハンモックのような役割を持っています。この筋肉群が衰えると、膀胱や尿道まわりのサポートが弱まり、尿トラブルが起きやすい状態になります。
男女の更年期、デスクワークや運動習慣のない人は注意
尿トラブルは女性更年期に多いとされていますが、男性の場合も決して例外ではありません。骨盤底筋のケアを怠ると、頻尿や尿漏れといった悩みが深刻化する恐れがあります。
普段の姿勢や運動習慣によっては骨盤底筋へ十分な刺激を与える機会が少ないため、意識的に鍛える必要があります。
例えば、日常的に長時間椅子に座っている方や、運動量が極端に少ない方は特に注意が必要です。骨盤底筋をピンポイントで意識するトレーニングを行うことで、膀胱の支えを強化し、安定した排尿リズムを保つことが期待されます。
骨盤底筋を鍛えることで、姿勢も整う
また、骨盤底筋は体幹部とも密接に関わっており、腹筋や背筋と連動することで姿勢を整える効果も得られます。結果的に、骨盤底筋を鍛えることが全身のバランス向上や体幹強化につながり、健康面だけでなく生活の質の向上にも大いに貢献します。
骨盤底筋スクワットで鍛えられる筋肉と得られるメリット
通常のスクワットでは太ももやお尻の筋肉が中心に使われますが、110度スクワットは浅くしゃがむことで、より骨盤底筋に集中して、深層部のインナーマッスルを活性化させる狙いがあります。
骨盤底筋を鍛えることで、メリットのひとつとして膀胱を支える力の向上が挙げられます。そのほかに姿勢の維持や腰痛の予防にも役立ち、全身のバランスを整える助けにもなります。
では、骨盤底筋スクワットで主にどの筋肉がターゲットとなり、サブとしてサポートされるのかを具体的に見ていきましょう。
メインで鍛えられるのは「骨盤底筋群」
上から見た骨盤底筋群。図は女性のだが、男性もほぼ同じ位置・範囲にある
骨盤底筋群は、尿道や膀胱を支える重要な役割を担っています。骨盤底筋が弱まると、ふとした動作や力が入ったときに尿が漏れるなどのトラブルにつながりやすくなります。
骨盤底筋スクワットでは、スクワット時の下半身の動きに加えて、骨盤を引き締める意識をプラスすることで集中的な刺激を加えられます。
具体的には、太ももの角度を調節しつつ、肛門周辺をキュッと締めるように意識すると、骨盤底筋群をしっかりと働かせることができます。初めは感覚をつかみにくいかもしれませんが、少しずつ意識できるようになると、効果を実感できるはずです。
尿失禁や頻尿のトラブルが気になる場合は、日常的にこのスクワットを取り入れてみることをおすすめします。継続することで、骨盤底筋が日常動作でも機能しやすくなり、気になる尿トラブルの改善にも繋がります。
サブで鍛えられる「大臀筋(お尻)」
大臀筋は、お尻のもっとも大きな筋肉であり、スクワットの動作全般で強く使われます。骨盤底筋スクワットでも、下に腰を落とす際に負荷がかかるため、お尻を引き締める効果が期待できます。
大臀筋をしっかりと鍛えることで、ヒップラインの引き締めだけでなく、見た目の姿勢改善にも寄与します。さらに、大臀筋が強化されると骨盤を後方から支える力が増すため、腰回りの安定にも役立ちます。
サブで鍛えられる「内転筋群(内もも)」
スクワットの姿勢を保つためには、足を開いた状態で重心を安定させることが重要です。このとき内ももに力が入ることで、内転筋群がしっかり鍛えられます。
骨盤底筋を意識したスクワットでは、より内側に力を入れる感覚が育ちます。これにより、下半身のバランスやスタビリティが向上し、歩行やスポーツ時の安定感が増すでしょう。
サブで鍛えられる「腹横筋」
腹横筋は、腹部をコルセットのように包み込むインナーマッスルで、腹圧や姿勢の維持に関わります。骨盤底筋スクワットでは、体幹を安定させながら動作を行うために、腹横筋にも自然と力が入る仕組みです。
お腹を凹ませるようなイメージでスクワットすると、さらに腹横筋を意識できます。これを習慣化することで、体幹のサポート力が高まり、長時間のデスクワークや立ち仕事でも疲れにくくなるでしょう。
サブで鍛えられる「多裂筋・脊柱起立筋」
多裂筋や脊柱起立筋は、背骨を支える重要な筋肉群です。スクワット動作中、上半身を前傾させすぎないようにキープすることで、これらの筋肉にも適度な負荷がかかります。
骨盤底筋とともに背骨周辺の深層筋を強化することで、腰への負担が軽減し、姿勢の改善や腰痛予防にもつながります。上下動を行うたびに背筋を伸ばす意識を持つと、より効果的にアプローチできるでしょう。
次:骨盤底筋は鍛えにくいため「意識」が大事!
骨盤底筋は鍛えにくいため「意識」が大事!
骨盤底筋は意識するのが難しい筋肉の一つです。なぜなら、外からは見えず、具体的にどの部分が動いているのか感覚をつかみにくいからです。そのため、正しいフォームとイメージがポイントになります。焦らず地道にイメージを養っていきましょう。
スクワット中に肛門部に力を入れている感覚や、尿意を我慢するときの感覚を思い出すと、骨盤底筋を捉えやすくなることがあります。ただし、呼吸を止めないように注意して、自然な呼吸の中で引き締めを行いましょう。
最初は動作に慣れず、他の筋肉へばかり意識がいくかもしれませんが、少しずつ骨盤底筋を感じ取れるようになれば筋肉の活性化が進みます。正しいフォームを忘れずに続けることで、効果を着実に得ることができるはずです。
骨盤底筋スクワットの効果的なやり方
110度スクワットの角度をチェック
110度という感覚を知るために、初めて骨盤底筋スクワットを行う場合は、膝の高さの椅子があると便利です。椅子から10cm程度浮かせた位置が、だいたい110度の位置になります。りんご1個分、ソフトボール1個分程度を置いて、触れたあたりで止めるといいでしょう。
110度スクワットの正しいフォームと呼吸法
スクワット動作中は、足裏全体で床を踏みしめながら、骨盤底筋をキュッと締めることを意識します。上半身は軽く前傾し、背筋を伸ばしておくと同時に、呼吸も止めずに行いましょう。
呼吸法は、下に腰を落とすときに息を吸い、上がるときに息を吐くのが基本です。その際、お尻の穴付近を締める感覚をキープするように意識を続け、骨盤底筋をしっかりと働かせましょう。
110度骨盤底筋スクワットのやり方
ステップ1 足を肩幅より少し広く、つま先は自然に開く程度に外側へ開く。背筋を伸ばして、頭の先からお尻まで一直線を意識して立つ。骨盤底筋を締める(おしっこを我慢する、お尻の穴を締めるような感覚)。
ステップ2 息を鼻から吸いながら、ゆっくりと腰を下ろす(椅子に座る直前のイメージで下ろす)。膝がつま先より前に出ないように注意。このとき、骨盤底筋は引き締めたまま。
ステップ3 息を吐きながら、骨盤底筋を締めたまま立ち上がる。動作はゆっくり・丁寧に、足裏全体で身体を支える意識で行う。
これを1日10~15回1セットを行いましょう。
もし110度の角度まで腰を落とすのが難しい場合は、無理せず浅めのスクワットからスタートしてください。慣れてきたら、徐々に深くしていくことで目標の角度に近づけるようにしましょう。
浅めのスクワットでしっかりと骨盤底筋に意識が向き、繰り返し動作を行うことで、尿失禁や頻尿に対する予防・改善効果を高めることができます。続けていくうちに慣れてきたら、回数やセット数を増やしながらステップアップしていくのもおすすめです。
よくある失敗例と注意点
骨盤底筋スクワットは、正しい姿勢を維持できる範囲で行うことが大切です。急激に深くしゃがみ込むと、膝や腰を痛めるリスクがあるので、無理のない範囲で始めましょう。
腰を過度に反った状態でスクワットを行うと、骨盤底筋ではなく、背中や太もも前部ばかりに負担がかかってしまいます。その結果、腰痛を引き起こす可能性も高まりますので注意が必要です。
また、骨盤底筋を締めるつもりが、代わりにお尻だけを固めてしまうケースもよく見受けられます。お尻の穴付近に意識を集中しながら動作をするように心がけてください。
さらに、つま先寄りに重心が偏っていると膝が痛くなる原因にもなります。かかとを含む足裏全体で地面を押す感覚を大切にし、正しいフォームで無理なく続けることがポイントです。
骨盤底筋をさらに強化する運動と生活習慣
骨盤底筋スクワット以外にも、骨盤底筋を鍛える効果的なエクササイズは数多く存在します。スクワット以外のエクササイズや普段の生活で取り入れやすいポイントを解説します。
例えば、座ったまま、立ったままできる骨盤底筋トレーニングもあります。デスクワークや立ち仕事が多い方におすすめです。長時間のデスクワークでは、こまめに立ち上がってストレッチや軽い運動を取り入れましょう。
次に、四つん這いの姿勢で片腕と反対側の脚を同時に伸ばす「バードドック」は、体幹を安定させながら骨盤底筋にも刺激を与えられる動きです。
また、食生活や水分補給のバランスを整えることも、尿トラブル予防に欠かせません。便秘が続くと骨盤底筋へ負担がかかる場合があるため、野菜や食物繊維をしっかり摂取し、適度な水分で腸内環境を整える心がけをしましょう。
骨盤底筋スクワットに関するQ&A
多くの方が抱える疑問や不安に対する回答をまとめました。
スクワットは毎日行っても大丈夫?
適度な回数であれば毎日行っても問題ありませんが、過度にやりすぎると筋肉の回復が追いつかない可能性があります。疲労が強いと感じる日は休息を入れながら、週に3~4回を目安に取り組むとよいでしょう。
効果を実感できるのはいつ?
個人差はありますが、早い人で2~3週間、遅いと数ヶ月かかることもあります。継続することが何より大切なので、焦らずコツコツと続けましょう。
骨盤底筋スクワットをする上での注意点は?
腰や膝に不安を感じる場合は、医師やトレーナーに相談してから始めるのがおすすめです。無理をせず、まずは正しいフォームで回数を少なめに行い、段階的に増やしていくようにしましょう。
骨盤底筋スクワットを継続することは、生活の質も高める
骨盤底筋は普段は意識しにくい反面、正しい方法で鍛えると重要な役割を果たしてくれます。加齢による男性ホルモンの低下を補う意味でも、骨盤底筋をしっかり鍛える意義は大きいといえます。
骨盤底筋スクワットは、骨盤底筋をメインに鍛えつつ、大臀筋や内転筋群などのサブの筋肉も同時に強化できる効率的なエクササイズです。さらに、姿勢改善や腰痛予防など、全身的なメリットも期待できる点が魅力的です。
尿漏れや頻尿といった悩みを抱える男性の方は、まずは無理のない範囲でスクワットに挑戦してみましょう。継続することで、今まで気になっていたトイレの回数や尿もれリスクの低減に繋がり、日常生活の質を高める大きなサポートとなるはずです。
監修者プロフィール
沢岻美奈子女性医療クリニック
沢岻 美奈子
神戸市内の婦人科クリニック「沢岻美奈子女性医療クリニック」理事長で産婦人科専門医。
クリニックでは乳がん検診・骨粗鬆症検診など女性特有の検診がワンストップでできる。患者さんとの対話を大切にし、各々に合わせた医療を提供するスタイルで、幅広い年代の女性のかかりつけ医として地域医療に携わる。
更年期世代の患者さんも治療で多く通院しており、婦人科のリアルをお伝えするためにインスタグラムtakumina _clinicや、podcast「女性と更年期の話」など情報発信もしている。
<Text:編集部>
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