在阪民放アナのリレーコラム「アナランド」

ABCテレビ・中村想人アナ JBC認定リングアナと二刀流 世界戦の晴れ舞台を夢見る

[ 2025年4月23日 11:00 ]

プロボクシングのリングアナ資格を持つABCテレビ・中村想人アナウンサー
Photo By スポニチ

 NPBの監督は12人しかいない。だが、それ以上に稀少、日本に7人しかいないプロ。それが国内プロボクシングを統括する日本ボクシングコミッション(JBC)が公認するリングアナだ。「自分の声一本で、会場の雰囲気を変えられるのが魅力です。ボクサーが戦う最高の舞台を作り上げられたら」とABCテレビ・中村想人アナウンサー(23)は胸を張る。

 小学生の頃から近くにあった中央大の地域貢献のスポーツ教室に通った。陸上にバレーボール、空手などを複数のスポーツを体験。その中でボクシングを選んだ。当初は「ボクササイズのつもり」だったがすっかりはまって、中学では地元のジムに通った。高校でボクシング部に入り、2年春の選抜大会はライトウエルター級で全国ベスト8。だが、その敗戦で限界を感じた。3年最後のインターハイ予選で敗れて、引退した。

 慶応大では「端艇(たんてい)部」に入部した。一般的にはボート部。中村アナは4人兄弟の四男で「一番上の兄が一橋大ボート部で、アジア大会で銀メダルを獲りました」。その影響もあってこれまでと全く違うボート競技を選んだ。細身だが、持ち前の体力、脚力、瞬発力で2年から花形のエイトでレギュラーの座をつかんだ。大学2年時、コロナ禍で社会人と大学が混合の全日本選手権に出場。決勝では明治安田生命で現役だった兄と直接対決し、兄は2位で弟は5位。「大学では3位でした。いい思い出ができました」という。

 ただ、ボートをやりながらも好きなボクシングへの思いは消えず。大学4年時に週2回の休みをすべて使って東京・後楽園ホールへ通い、研修を受けて、国内に7人しかいない日本プロボクシングコミッション認定のリングアナのライセンスを取得した。「選手紹介に始まり、会場内の放送、結果発表など。おかげで声が大きくなり、アナウンサーとしてはプラスになってると思います」とニンマリ。23年の東日本新人王決定戦の決勝も担当。「50試合ぐらいはやりました」という。

 ただ、局アナとなってこの1年は本業に専念して、リングアナは休止中だ。今春から、仕事が休みの日に大阪・エディオンアリーナなどで行われるプロの試合に足を運び、再度研修を受けてきた。他のプロのリングアナも本業を持ちながらリングに上がるのが当たり前の世界。今後はできる範囲でテレビとリング上の“二刀流”を実践。「我が局でもボクシング中継をやってほしいです。井上尚哉選手の世界戦のリングアナ、ぜひやらせてもらいたい」と夢をふくらませる。

 もちろん、本業をおろそかにはしていない。現在はABCテレビ「newsおかえり」(月~金曜後3・40)の月・火曜にサブ・フィールドキャスター、金曜はニュース担当などでレギュラー出演中だ。金曜の新コーナー「おかえりピックアップ」も担当している。今一番の悩みは将来の方向性。「スポーツを担当するのか、報道系を目指すのか。とにかく、現場に行って皆さんに情報を伝えたい」とじっくり考え中だ。

 さらにプライベートでも目標がある。「25歳までに結婚したい。沈黙しても気まずくならない人がいいですね」。自身は料理好きで最近、刺し身包丁を購入したほど。「家事はなんでもできます。彼女募集中です」と自己PRを忘れなかった。 (古野 公喜)

 ◇中村 想人(なかむら・そうと)2001年5月20日、東京都三鷹市生まれの23歳。慶応大から24年4月に朝日放送に入社。趣味は裁判傍聴、料理。

続きを表示

バックナンバー

もっと見る