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スタートで抜けなきゃ勝ち目なし? 2024年のスーパーGTの“逃げ切り”トレンドはいつまで続くのか

[ 2024年8月18日 17:00 ]

2024年のスーパーGTシリーズは、様々な変化があった。

最も目立つ変更点は、GT500クラスマシンの顔ぶれが変わったこと。GT500クラスでは2年ごとにマシンの空力開発が解禁されるが、ベース車両の変更もこのタイミングで行われる。

2024年シーズンのホンダ・シビックタイプR-GT
2023年のNSX-GT

ホンダはマシンを昨季までのNSXから、シビックタイプRへとスイッチ。また、ニッサンは通常のZから、ロングノーズ仕様のZ NISMOにアップデートした。一方、トヨタはGRスープラを継続しているが、しっかりと空力開発を進めてきた。

2024年のZ NISMO GT500
2023年のZ GT500

車体の更新に伴い、昨年までのNSXはダウンフォースが強いぶん空気抵抗も大きいという傾向が強かったが、今年のシビックは逆に最高速の伸びがいいという“キャラ変”が起きているが、依然として3陣営の速さは拮抗している状況。シーズン前半4戦でスープラが2勝、Zとシビックが1勝ずつと、勝ち星もきれいに分かれている。

2024年のGR Supra GT500
2023年のGR Supra GT500

また、長年にわたりGT500クラスで活動してきたミシュランが昨年限りで同クラスでの活動を休止したことにともない、ミシュランユーザーだったニッサンの2チームがブリヂストンにタイヤメーカーを変更。これにより、GT500においては15台中12台がブリヂストンタイヤを履く状態となった。

2024年に向けては各種ルールも変更されている。

レースにおいて大きいのは予選の方式とドライタイヤの持ち込みセット数。
予選はQ1とQ2が行われるのは変わらないが、これまでのQ1での上位だけがQ2に進めるノックアウト方式から、Q1とQ2のタイムを合算する方式となった。
また、ドライタイヤの持ち込みセット数が4に削減(300kmレースの場合。レース距離が300kmを超える場合は別途定められる)。さらに、予選Q1とQ2、そして決勝の最初のスティントをひとつのセットで走らなければならなくなった。

これらの変更により、予選ではふたりのドライバーのアベレージスピードだけでなく、決勝を見据えたタイヤマネジメントの技術も問われるようになった。

くわえて、今季は新たに3時間レースと350kmレースを新設されたことも大きなトピックのひとつだ。

そんな2024年シーズンはすでに4レースを消化し、ちょうどシーズンの折り返し地点に到達している。

今シーズンここまでの4戦では、ポールシッターによる先行逃げ切りの展開が目立っている。ゴールデンウィークに開催された第2戦富士3時間は、予選2番手のNiterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞)が優勝しているが、彼らはスタート直後の1コーナーでトップに立つと最後までトップを譲ることなくチェッカーまで快走したかたちだ。

第2戦富士3時間のオープニングラップ

そして、優勝者だけでなく、上位グリッドからスタートしたマシンがそのまま上位でフィニッシュする傾向も強く、予選4番手以下から表彰台を獲得したのは第4戦富士350kmで3位となったKeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)のみと、ここまでは上位では順位の入れ替わりが少ないシーズンとなっている。

もちろんオーバーテイクがないわけではないが、タイヤメーカー数の減少や3社の実力が拮抗具合が影響し、今季はポジションの変動が起きる要素がこれまでよりも少なくなっているのかもしれない。

au TOM’S GR Supra

そんななか、ランキングトップに立っているのが、au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)だ。昨季のチャンピオンは開幕戦岡山でポール・トゥ・ウィンを飾ると、その後も入賞を続け、4戦で41ポイントを稼いでいる。

スーパーGTでは獲得ポイントに応じてハンデの“重し”を積まなければならないサクセスウェイト制度を採用している。そのため、優勝すると次戦以降は苦しいレースを強いられるのが普通だ。しかし、au TOM’S GR Supraは予選では下位に甘んじるも、決勝ではしぶとく追い上げるレースを展開。第2戦富士3時間では予選11番手から4位、第3戦鈴鹿3時間でも予選11番手から5位、第4戦富士350kmでは予選14番手から7位と、驚異的な強さで“ダメージ”を最小限に食い止めている。

STANLEY CIVIC TYPE R-GT

ランキング2位はSTANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)。いまだ勝利はないものの、開幕戦岡山と第4戦富士で表彰台に登壇しているほか、au TOM’S GR Supraと並んでこれまでの4戦すべてで入賞を果たしており、ウィナーを上回るポイントを獲得している。

Niterra MOTUL Z

ランキング3位にはNiterra MOTUL Z、同4位にはDeloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)と、第2戦と第3戦の優勝車両が続いている。

Deloitte TOM’S GR Supra

シーズン後半にはスポーツランドSUGOとオートポリスという、比較的レースが荒れやすいステージでのレースが控えており、サクセスウェイト制度も相まって、現在ランキング下位となっているマシンが急浮上してくる可能性は充分にある。

スーパーGTの2024年シーズン後半戦は8月31日~9月1日に開催される第5戦鈴鹿350kmでスタートする。

2024年スーパーGTシリーズ GT500クラス ドライバーランキング(第4戦富士終了時点)

Rank. No. Driver Car Pts. Tyre
1 36 坪井 翔/山下健太 au TOM’S GR Supra 41 BS
2 100 山本尚貴/牧野任祐 STANLEY CIVIC TYPE R-GT 37 BS
3 3 高星明誠/三宅淳詞 Niterra MOTUL Z 30 BS
4 37 笹原右京/G.アレジ Deloitte TOM’S GR Supra 28 BS
5 14 大嶋和也/福住仁嶺 ENEOS X PRIME GR Supra 27 BS
6 8 野尻智紀/松下信治 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8 26 BS
7 38 石浦宏明/大湯 都史樹 KeePer CERUMO GR Supra 25 BS
8 23 千代勝正/R.クインタレッリ MOTUL AUTECH Z 23 BS
9 17 塚越広大/太田 格之進 Astemo CIVIC TYPE R-GT 22 BS
10 39 関口雄飛/中山雄一 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 19 BS
11 12 平峰一貴/B.バゲット MARELLI IMPUL Z 19 BS
12 16 大津弘樹/佐藤 蓮 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16 15 BS
13 64 伊沢拓也/大草りき Modulo CIVIC TYPE R-GT 7 DL
14 19 国本雄資/阪口晴南 WedsSport ADVAN GR Supra 3 YH
15 24 松田次生/名取鉄平 リアライズコーポレーション ADVAN Z 2 YH

2024年スーパーGTシリーズ GT300クラス ドライバーランキング(第4戦富士終了時点)

Rank. No. Driver Car Pts. Tyre
1 2 堤 優威/平良 響 muta Racing GR86 GT 46 BS
2 65 蒲生尚弥/篠原拓朗 LEON PYRAMID AMG 44 BS
3 88 小暮卓史/元嶋佑弥 JLOC Lamborghini GT3 32 YH
4 777 藤井誠暢/C.ファグ D’station Vantage GT3 31 DL
5 4 谷口信輝/片岡龍也 グッドスマイル 初音ミク AMG 28 YH
6 56 佐々木 大樹/J.P.デ・オリベイラ リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 27 YH
7 52 吉田広樹/野中誠太 Green Brave GR Supra GT 25 BS
8 31 小高一斗/中村 仁 apr LC500h GT 20 BS
9 7 荒 聖治/N.クルッテン Studie BMW M4 19 MI
10 6 片山義章/R.メリ・ムンタン UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI 14 YH
11 87 松浦孝亮/坂口夏月 METALIVE S Lamborghini GT3 14 YH
12 7 B.スペングラー Studie BMW M4 8 MI
13 45 K.コッツォリーノ/L.ワドゥー PONOS FERRARI 296 7 MI
14 96 新田守男/高木真一 K-tunes RC F GT3 7 DL
15 18 小林崇志/小出 峻 UPGARAGE NSX GT3 4 YH
16 65 黒澤治樹 LEON PYRAMID AMG 3 BS
17 61 井口卓人/山内英輝 SUBARU BRZ R&D SPORT 3 DL
18 62 平手晃平/平木湧也/平木玲次 HELM MOTORSPORTS GT-R 1 YH
19 60 吉本大樹/河野駿佑 Syntium LMcorsa GR Supra GT 1 YH
20 11 富田 竜一郎/石川京侍 GAINER TANAX Z 1 DL

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