【ジャンプ】小林陵侑“繰り上げ”銅メダル! ノルウェー勢2人が失格、2大会連続で表彰台

[ 2025年3月9日 01:26 ]

ノルディックスキー世界選手権 第10日 ( 2025年3月8日    ノルウェー・トロンヘイム )

惜しくも4位だった小林陵侑(ロイター)

 ジャンプ男子個人ラージヒル(ヒルサイズ=HS138メートル)が行われ、22年北京冬季五輪ノーマルヒル覇者の小林陵侑(28=チームROY)が合計284.7点で銅メダルを獲得した。前回の23年プラニツァ(スロベニア)大会ラージヒル2位に続く表彰台となったが、世界選手権初優勝は逃し、五輪金メダル、W杯個人総合優勝、欧州ジャンプ週間総合優勝を合わせたスキージャンプ「個人4冠」はお預けとなった。女子個人ラージヒル、ノーマルヒルで2冠を達成したニカ・プレブツ(19=スロベニア)の兄で、2回目に140.5メートルを飛んで合計301.8点をマークしたドメン・プレブツ(25=スロベニア)が初優勝した。

 小林陵は1回目に135.5メートルでトップと5.1点差の5位につけ、2回目もヒルサイズに迫る137メートルを飛んで両拳を握りしめた。この時点でトップに立ち、残り4人の結果を待ったが、3人に抜かれて4位に後退。優勝のプレブツに17.1点、3位のヤン・ヘール(26=オーストリア)には1.9点届かなかった。

 だが、ノルウェー勢のスーツに対する疑惑が大会中に浮上してスロベニアやオーストリアが抗議しており、2位に入ったマリウス・リンビク(26=ノルウェー)と5位だったヨハンアンドレ・フォルファン(29=ノルウェー)の2人がスーツ素材の違反を理由に失格。小林陵が“繰り上げ”でメダルを獲得した。今大会の小林陵は個人ノーマルヒルが7位で、混合団体と男子団体はいずれも5位。「(上位勢は)ここで出す、というところで力以上のことを出してくる」とライバルたちとの差を指摘しながらも、「感覚的にはずっといい」と好調は実感していた。

 今季序盤は体調不良や腰痛もあり、出場19試合目まで表彰台はゼロ。「凄く苦しい時期でもあった」と明かす。シーズン中の1月中旬、あえて日本に一時帰国した。拠点を置く札幌で精神面のリフレッシュとともに行ったのが、マテリアルの調整。スーツ、板、靴と1つずつ突き詰めた。これまで前掛かりになりすぎていた助走姿勢をやや後ろに引く調整もかみあい、未勝利で迎えた2月のW杯札幌大会で2連勝。苦しい時期を乗り越えて本来のジャンプを取り戻した。

 北京冬季五輪金メダル、3度のジャンプ週間総合優勝、2度のW杯総合優勝を果たしてきた28歳にとって、世界選手権は唯一手にしていない主要タイトルだった。「今までの世界選手権では、ちょっと集中力に欠ける感じがして結果を残せていない。新鮮なことをして臨めたらいい」。他の日本代表選手が欧州で調整を行う中、初めて長野県白馬村で単独合宿を敢行した。

 ジャンプはもちろん、アルペンやクロスカントリーでトレーニングを行う充実した準備期間になった。渡欧時には「良い準備ができている。楽しみ。完璧はなかなか難しいかもしれないけど、やれることはできた」と話していた。史上6人目の個人4大タイトル制覇はならなかったが、日本のエースが2年に1度の大舞台で結果を出した。

 ◇小林 陵侑(こばやし・りょうゆう)1996年(平8)11月8日生まれ、岩手県八幡平市出身の28歳。小学3年から本格的にジャンプを始める。盛岡中央高までは複合選手で、15年の土屋ホーム入社後、ジャンプに専念。3度の欧州ジャンプ週間総合優勝(18~19、21~22、23~24年)、2度のW杯総合優勝(18~19、21~22年)、22年北京冬季五輪ノーマルヒルで金メダル、ラージヒル銀メダル。兄・潤志郎、姉・諭果、弟・龍尚もジャンプ選手。1メートル74、59キロ。

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