食用で流通ほとんどなく…進次郎農相 「古古古米」5キロ1800円程度の見通し示す

小泉進次郎農相は28日、衆院農林水産委員会で初質疑に臨み、2021年産の備蓄米の店頭想定価格が5キロ当たり1800円程度になるとの見通しを示した。21年産を随意契約で中小のスーパーや米穀店に売り渡す方針で「できる限り広く、地域に備蓄米が行き渡る努力を続けたい」と述べた。
放出を決めた30万トンの備蓄米(22年産20万トン、21年産10万トン)を巡っては、通称「古古米」の22年産は大手スーパーなど70の事業者から申し込みが殺到。予定した全量に達する見込みとなり、農林水産省は27日夜に受け付けを休止した。
一方で「古古古米」と言われる21年産は人気がなく、90%以上が22年産の購入希望。小泉農相はこれまで店頭想定価格は21、22年産平均で2000円程度と説明してきたが、古い21年産は安くする。
スピード感が出た小泉農相のコメ政策を評価する声が多い中、専門家の中には「問題は味覚。消費者がどう判断するか」と指摘する声がある。古古米、古古古米について宇都宮大学農学部の小川真如助教は「そもそも食用として流通されることがほとんどなく、そのまま放出されず古くなった場合、その備蓄米は最終的に家畜の飼料となるのが一般的です。私も食べたことがない」と説明した。古米は精米前の段階でコメに含まれる油が酸化するため、独特の「古米臭」がする傾向にある。古古米、古古古米となると、その懸念が大きくなる。
一方で「普段食べられない物珍しさと価格の安さから、消費者の購買意欲が上がる可能性もあります」と需要が高まる可能性も指摘した。
ただ、コメの価格を引き下げる切り札としては懐疑的。「備蓄米放出は一時的な措置で、米の供給量が大きく変わるわけではない。秋においしい新米が出ると、やはり現在の相場に合った5キロ4200円以上で販売されるようになると思っています」と分析した。
イオンやイトーヨーカ堂など大手が契約した備蓄米は29日から引き渡しを始める。6月初旬には店頭に並ぶ見通しだ。