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井上尚弥、フルトンTKOのリング上でタパレスとの統一戦が決定? 「今年中に」対戦へ2人がガッチリ握手

[ 2023年7月25日 22:07 ]

WBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦 ( 2023年7月25日    有明アリーナ )

<世界Sバンタム級TM、フルトン・井上>タパレス(左)と並ぶ井上(撮影・島崎忠彦)
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 新モンスター伝説の幕開けだ!前4団体統一世界バンタム級王者の井上尚弥(30=大橋)がWBC&WBO世界スーパーバンタム級統一王者スティーブン・フルトン(29=米国)を8回1分14秒TKOで下し、2団体新王者となった。スーパーバンタム転級初戦でも圧倒的な強さを見せ、日本人2人目の4階級制覇も達成。年内にも男子史上初の2階級4団体統一を達成する可能性が高まった。

 第1ラウンドはジャブを上下に打ち分け、さらにフルトンとの間合いを冷静に図った。その距離感をつかむと、重圧をかけ、強烈なパンチを当てた。中盤に入るとフルトンも井上のパンチを防御しつつ、パンチを当てる場面も出るなど、お互いの長所を出す展開となった。

 そして迎えた8回、左ボディーから右ストレートで完全によろめかせ、追撃で左アッパーでダウンを奪うと、立ち上がったフルトンに対して、バンチのラッシュを浴びせ、レフェリーが割って入った。

 スーパーバンタム級最強の王者フルトンとの無敗対決を制した。前日計量時のフェースオフでは王者と約33秒間にわたってにらみ合うなど、挑発的な態度の王者に怒りの感情をむき出しにしていた井上。“上から目線”の王者をリングの上で黙らせた。

 対策が実った。身長4センチ、リーチで8センチ上回る相手。体格差を埋めるため、“仮想フルトン”として1メートル77で、いとこの浩樹(31)らと約150ラウンドのスパーリングをこなしてきた。長身の浩樹にも、素早い踏み込みから距離を詰め、リーチの差を苦にしなかった尚弥。「ずっと取り組んできた(懐への)入り方」と父・真吾トレーナーが表現する高速ステップインで相手の懐に入り、体格差で不利とされた戦前の予想を覆して見せた。

 スーパーバンタム転級初戦、1・8キロの階級の差を力に変えた。ジム先輩の元3階級制覇王者・八重樫東トレーナーが考案したフィジカル強化の「八重トレ」を21年後半から導入し、この階級で戦う準備を進めてきた。また6月から同ジムのトレーナーに就任した鈴木康弘氏が取り入れた、短いインターバルで負荷の高い練習を繰り返す「耐乳酸トレーニング」で体力強化。新階級でも戦える体をつくり上げた。

 18年5月WBA世界バンタム級王者ジェイミー・マクドネル(英国)に挑戦して以来、5年2カ月ぶりの挑戦者の立場が井上を奮い立たせた。試合に向けてTシャツ、グローブ、シューズ、トランクスの色は挑戦者を意味する青で統一。これまで世界王座に3度挑戦してきたが「その時以上の気持ち。自分の中で過去一、気合が入っている」と話した持ちを全てぶつけた。

 拳の負傷で5月7日から延期された一戦。「延期したことがプラスと言える試合内容にしたい」と宣言していた通りの試合を見せた。これで井岡一翔(34=志成)に続く日本人2人目の4階級制覇を達成。さらには昨年12月にバンタム級に続く、史上初の2階級4団体統一も射程圏内に捉えた。日本が世界に誇るモンスターがまた異次元のステージに足を踏み出した。

 試合後のインタビューで井上は「すごくスピードもパワーも乗り、充実した試合内容がこなせたと思いますけど、それでもまだスーパーバンタム級初戦ということで、練習でのまだこうしたらいいんじゃないかというものも今回の練習を通して見えましたし、まだまだリカバリーであったり、減量方法であったり、改善するところは山ほどある。スーパーバンタム級でまだまだ強い姿を見せられるんじゃないか。それにあたり、自分が思うスーパーバンタム級最強フルトンを8ラウンドで倒すことができたので、このスーパーバンタム級最強と言えるんじゃないかと思います。ただ、僕が持っているベルトは2本です。きょうこの会場にタパレスが見に来ているということで、次戦、スーパーバンタム級で4団体を統一したいと思います」と宣言した。するとリングに上がったWBA&IBF王者のタパレス(フィリピン)は「自分自身がチャンピオンであることを証明したいので、井上尚弥選手とぜひ試合がしたいです」と答えた。

 井上が「今年中にこの2つのベルトをかけて戦いましょう」と話すと、タパレスもうなずいて握手とともに2ショットで撮影に応じた。

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