国内ボクシング興行136日ぶり再開 愛知・刈谷で中日本新人王予選、無観客開催

Photo By スポニチ
新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言解除後、初めての国内ボクシング興行となる中日本新人王予選5試合が12日、愛知県の刈谷市あいおいホールで観客を入れずに行われた。
2月27日に後楽園ホール(東京)での興行を最後に国内ではプロボクシング開催を見合わせていた。136日ぶりの再開初戦となった第1試合、ミニマム級4回戦はプロ2戦目の松本幸士(30=HEIWA)が判定2―1で星野裕貴(29=中日)を下した。初回に互いにダウンを1度ずつ奪い、その後も顔を腫らしながら両者が激しく打ち合う展開。もし観客がいれば十分に会場を温めたかもしれない。勝利コールを受けた松本は「ヨッシャ~!」と雄叫びを上げ、セコンドから「大声出すな!」と怒られた。無理もない。昨年11月のデビュー戦は全てフルマークの判定0―3で敗れていただけに「感情が爆発してしまった。やっちまった」と頭をかく。それでも「とにかくうれしい。(試合ができて)安心した」と表情を緩めた。
一方、敗れた星野はこれがデビュー戦だった。「初めて8オンス(の試合用グローブ)だし、ヘッドギアもない。不安はあった。最初のダウンは予想外。すぐにダウンを取り返せたのは良かったけど、後半は積極性と手数がなかった」と敗因を分析。3月29日のデビュー予定がコロナ禍でここまで延びた。「(いつ試合ができるか不安で)気持ちの波は多少あった。でも7月に開催が決まってからは頑張ろうと思った」。5月下旬からスパーリングを再開。ただ十分とは言えず「スタミナをもう少しつけたかった」。この悔いを次への糧としたい。
興行再開にあたり、国内プロを統括する日本ボクシングコミッション(JBC)と、ジム会長らで組織する日本ボクシング協会が連携して対策連絡協議会を立ち上げ、ガイドラインを作成。これに従い、新型コロナウイルス感染予防には万全を期した。5試合の出場10選手は試合の3週間前と前日に抗体検査を受け、前日計量後はホテルに隔離された。また、会場は搬入用の大きな扉を常時開放して換気したほか、タイムキーパーらスタッフは医療用防護服やフェースシールド、マスクを着用。毎試合後にコーナーやうがい用バケツなどを消毒。レフェリーは視界確保のためフェースシールド着用を見送り、試合中に口頭で注意を与えられるようにマスクを着用しなかった。その代わり、選手同様に事前に抗体検査を受け、毎試合後にシャツを着替え、シューズを消毒するなど対策を講じて全5試合を仕切った。
JBCの安河内剛本部事務局長はようやく興行再開にこぎつけた安堵(あんど)をにじませながら「今は安心感だけですけど、選手にもアンケートを取るなど、意見を集約して次に生かしたい」と表情を引き締めた。