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こだわり旬の旅

【千葉】映画でも注目「八犬伝」ゆかりの地を訪ねて…伏姫と八房がこもった洞窟で幻想的な世界に浸る

[ 2025年3月3日 19:00 ]

岩井駅前に立つ「伏姫と八房の像」。八犬伝ゆかりの地めぐりはここから
Photo By スポニチ

 昨秋の映画「八犬伝」の公開で、あらためて注目を集める江戸時代の戯作者、曲亭馬琴の怪奇小説「南総里見八犬伝」。子供心に覚えている八犬士を懐かしみ、“古里”千葉県・南房総のゆかりの地を訪ねた。物語は創作だが、実在する土地や人物が登場するため、いずれも遺跡と見まがうほど。「八」にちなんだご当地グルメもあり、“八犬伝ワールド”に浸った。

 安房国(館山市、南房総市など)の戦国大名・里見氏の伏姫(ふせひめ)と愛犬・八房(やつふさ)の因縁により、各地に散らばった「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の8つの玉を持つ八犬士が、里見氏の危機を救う…歌舞伎や映画などでおなじみの「南総里見八犬伝」だが、ゆかりの地めぐりはJR内房線岩井駅からスタートした。

 駅を出た左側に伏姫公園があり、正面に「伏姫と八房の像」。地元ゆかりの彫刻家・山本正道氏の作品で、その伏姫と八房がこもっていたというのが、駅から徒歩約35分の富山(とみさん、標高349メートル)中腹にある「伏姫籠穴(ろうけつ)」だ。いつ誰が何のために造ったのか不明だが、瓦屋根の門をくぐり参道に入ると木々がうっそうと茂り、「八犬伝」の舞台にふさわしい幻想的な雰囲気。石段を上りきった所に八角形をした「伏姫舞台」。欄干の角に立つ8本の柱には玉が載り、それぞれに八犬士の名前が刻まれている。

 さらに上ると伏姫籠穴に到着。看板によると、入口の高さ1メートル、幅2メートル、奥行き6メートルで、手前に大きな玉、奥に8個の小さな玉が置かれ、表面に「仁・義・礼…」の文字が見える。中は真っ暗で妖気が漂い、吸い込まれそう。フィクションの産物とはいえ、まるで遺跡のようだ。

 現実と創造の狭間に迷い込んだような気分で、里見氏一族が治めていたという滝田城跡に向かったが立ち入り禁止。物語では伏姫の父・義実の居城跡で、同線館山駅からバスで約30分、約10分歩いて行っただけにがっかり。だが、そんな気持ちを救ってくれたのが、同駅からバスで約10分の花の名所、城山公園の館山城(八犬伝博物館)だ。

 里見氏最後の居城で三層四階天守閣形式の美しい城だが、実は天守建築はなかった模様。城内では馬琴の全98巻、106冊に及ぶ大作「…八犬伝」の版本や、八犬伝の登場人物、名場面を描いた錦絵、昭和48~49年にNHKで放送された人形劇「新八犬伝」で使われた人形(辻村ジュサブロー作)などを展示。八犬伝の世界に引き込まれる。

 4階の展望台からは館山の街や館山湾が一望の下。八の形をした富士山も見え、絶景に感動しながら公園内の「里見茶屋」で、八犬伝にちなんだ8種のあん(こしあん、ずんだ、ゴマなど)が盛られた名物「房州里見だんご」に舌鼓。モチモチとしておいしく、八犬士にも食べさせたかった!?

 ▽行かれる方へ 車は富津館山道鋸南富山ICから約10分。館山城入館料400円。だんご1本200円から。問い合わせは南房総市観光協会=(電)0470(28)5307、館山市観光協会=(電)同(22)2000。    

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