【平塚・グランプリ】公営初の3億円レーサー誕生!脇本雄太 8番手から捲り上げGP初V

[ 2022年12月31日 05:30 ]

KEIRINグランプリ初優勝を決め、シャンパンファイトを行う脇本(撮影・篠原岳夫)
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 夢の3億円レーサー誕生――。「KEIRINグランプリ2022」が30日、平塚競輪場で行われ、打鐘3コーナー8番手から捲り上げた脇本雄太(33=福井・94期)が4回目の挑戦で初優勝。賞金1億2380万円を獲得し初の賞金王に輝いた。今年の賞金額は3億584万2300円となり、三谷竜生の2億5531万3000円(18年)を大幅に更新。公営競技史上最高となる金字塔を打ち立てた。脇本をマークした古性優作が1/4輪届かず2着、単騎戦の地元・郡司浩平が3着だった。

 「最強」の2文字がよく似合う。脇本が競輪史上、そして公営競技史上最高となる年間獲得賞金3億円を突破した。「正直、実感はないが、記録をつくったことは誇りに思いたい」。湘南の風を心地よさそうに浴びながら唯一無二の頂点に立った喜びに浸った。

 新山がハイスピードで逃げる流れは想定内。だが松浦が北日本ラインの分断に出る陽動作戦は頭になかった。「松浦君の追い上げは予想していなかった。追い上げているのを見て僕にもチャンスがあると思った」。打鐘前から全力で飛ばす新山を8番手で見ながら猛然とスパート。番手を守り抜き2段駆けに出た新田を楽々と乗り越えラスト半周で先頭。番手は昨年覇者の古性。差し脚が迫る。だがゴールの瞬間までスピードは落ちなかった。「(ゴールで)ハンドルを投げた瞬間は分からなかったが、古性君の横に並んで肩を組んだ時に優勝したんだと確信した」。文句なしのパーフェクトな走り。最高峰の舞台で完勝してみせた。

 昨年の東京五輪。日本代表として、メダル有力候補として挑んだが、夢には届かなかった。「満足いく結果が残せず、その悔しさを日本の競輪でリベンジしたいと思っていた」。五輪後は世界でも例を見ない腸骨の疲労骨折。4カ月を棒に振った。それでも再び立ち上がり、今年の前半戦は無双状態。5月いわき平ダービーを制覇し、8月西武園オールスターは24年ぶりの完全優勝。9月にはS級連勝記録「21」を打ち立てた。今年で33歳。東京五輪を終え「ピークは過ぎた」と言うが、今までの経験値とオリンピアンの鋼のメンタルが「最強」をつくり上げた。

 新王者に慢心はない。その視線は既に前を向いている。「来年1年間は1番車のチャンピオンユニホームを着て責任を果たせるように頑張りたい」。年明け最初の全日本選抜(2月高知)を勝てば、グランドスラム(G1全6冠制覇)へ残すは競輪祭のみ。最強を極める一年が始まる。

 ○…脇本の年間獲得賞金は競輪史上最高というだけでなく、公営競技最高でもある。ボートレースで02年、植木通彦(引退)がグランプリを含む年間SG3勝で2億8418万4000円を稼ぎ出した。これが公営競技歴代トップだったが脇本は20年ぶりに更新した。なお、プロ野球で年俸3億円を超えるのは20人(以下推定)。中田翔(巨人)、源田壮亮(西武)らが3億円で契約した。

《グランプリVTR》新山―新田―守沢―佐藤の北勢が前受け。単騎の郡司―平原―松浦が続いて脇本―古性は後方。松浦が追い上げ新山の番手で新田と並走。1車下げた新田は残り2周で松浦をさばいて番手を死守。打鐘で新山がペースアップ。新田―松浦―守沢続くが守沢は松浦を押し込み失格。8番手から踏み上げた脇本―古性が番手捲り新田を捉え郡司が追う。脇本が押し切り、古性が2着。

 ◇脇本 雄太(わきもと・ゆうた)1989年(平元)3月21日生まれ、福井県福井市出身の33歳。県立科学技術高卒。08年7月プロデビュー。通算成績は838戦339勝。通算取得賞金は10億450万円。主な優勝は第61、65回オールスター競輪(18、22年)、第27、29回寛仁親王牌(18、20年)、第73、76回日本選手権競輪(19、22年)、第71回高松宮記念杯競輪(20年)、KEIRINグランプリ2022。1メートル80、72キロ。血液型A。

 

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