寺島しのぶ 快挙!女優異例の歌舞伎座の舞台へ 山田洋次監督が演出の10月公演 松竹が発表

[ 2023年7月18日 10:28 ]

寺島しのぶ
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 松竹は18日、歌舞伎座の10月公演について、銀幕の巨匠・山田洋次監督が演出を手掛ける「文七元結物語」を上演し、メインキャストとして中村獅童と女優・寺島しのぶ(50)が起用されることを発表した。寺島については、成人女性の歌舞伎座本公演出演は異例。

 「文七元結」は、幕末から明治にかけて活躍した落語家の三遊亭圓朝が口演した人情噺。歌舞伎では1902年、歌舞伎座で五世尾上菊五郎が初演して以来の人気作で、落語をこよなく愛する山田氏が演習を務める。博打におぼれる腕の良い左官長兵衛を中村獅童、女房のお兼を寺島しのぶが演じる。

 歌舞伎俳優尾上菊五郎(80)の長女として生まれた寺島は、歌舞伎一家で育ち、歌舞伎俳優へあこがれた。だが、女性ゆえに歌舞伎の舞台に立つことができない悔しさも秘めて生きてきた。そうした寺島が上がる舞台には大きな注目が集まりそうだ。

 松竹は、この上演について「山田の新たな構想により脚本・演出を一新して、これまでの『人情噺文七元結』とはまた違った魅力を放つ『文七元結物語』が誕生」と記し、山田氏の「女房も呆れてしまうくらいダメな男と、ダメな男に惚れてしまった女。笑いのある舞台で、歌舞伎座に芝居を観に来た人を楽しませたい」というメッセージを紹介した。

 寺島と山田監督は、21年に公開された映画「キネマの神様」で初タッグ。今回のキャスティングについて、松竹は「山田たっての希望による理想的なキャスティング」と説明した。

 「文七元結物語」では、中村、寺島のほか、近江屋手代文七を坂東新悟、長兵衛の娘・お久を中村玉太郎、角海老女将お駒を片岡孝太郎、近江屋卯兵衛を坂東彌十郎が演じることが発表されている。

 歌舞伎座の歌舞伎興行に女優が出演した例は、数々の名優と共演した初代水谷八重子の舞台や、山田五十鈴が二世尾上松緑と共演した「シラノ・ド・ベルジュラック」、新劇の鈴木光枝が初代尾上辰之助(三世松緑)と共演した「楢山節考」などがある。また、「文七元結」では、歌舞伎座では波乃久里子が13歳と22歳のときに長兵衛娘・お久を演じ、今回寺島が演じる長兵衛女房お兼の役は、初代藤間紫が1968年の御園座で演じた例がある。

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