坂本龍一さん死去 戦場のメリークリスマス、ラストエンペラー… 映画音楽でも世界的評価

[ 2023年4月2日 21:23 ]

1983年、映画「戦場のメリークリスマス」試写会に出席した(右から)坂本龍一さん、大島渚監督、ビートたけし
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 「世界のサカモト」と評された音楽家の坂本龍一(さかもと・りゅういち)さんが死去したことが2日、分かった。71歳。東京都出身。

 スポニチ本紙の取材では都内の病院で3月28日に亡くなった。日本における坂本さんのマネジメント会社「キャブ」も認めている。20年6月に直腸がんと診断され、両肺などにも転移しステージ4と公表していた。1980年代に3人組バンド「イエロー・マジック・オーケストラ」(YMO)で世界的ヒット曲を生み出した。映画音楽でも知られ、88年には米映画「ラストエンペラー」で米アカデミー作曲賞を日本人で初めて受賞した。晩年はがん闘病が続いたが、最後まで音楽作りに情熱を注いだ。

 坂本さんは映画音楽でも世界的な評価を得ていた。

 6月2日公開の是枝裕和監督作品「怪物」にも提供。是枝監督が「長年の念願がかなった」というコラボだが、体調が思わしくない中での制作で、坂本さんは同作公式サイトに寄せたコメントで心情を吐露。全ての楽器の音階などを記すスコアについて「今回残念ながら、お引き受けする体力はなかった」と述懐。「監督からのたってのご所望で」ピアノ曲2曲を提供したとし、「新しいアルバム『12』からの曲や、古い曲を使って全体を構成してくださった」と振り返った。

 映画音楽を初めて手掛けたのは1983年の「戦場のメリークリスマス」。大島渚監督からは俳優としてのオファーを受けたが、「音楽を任せてもらえるなら出演します」と条件を付け、快諾を得た。同作は英国アカデミー作曲賞を受賞。特にメインテーマ「Merry Christmas Mr.Lawrence」は今なお弾き継がれる代表曲の一つ。坂本さんは後に「大島監督が最大の恩人」とし、「僕の人生はすっかり変わりました」と話している。

 “戦メリ”がお披露目された仏カンヌ映画祭で紹介されたイタリアの巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督に請われ、88年には「ラストエンペラー」に出演。撮影半年後に音楽の依頼を受け、2週間ほどで45曲を書き上げた。米アカデミー賞で日本人初となる作曲賞を受賞したほか、グラミー賞の映画音楽賞も獲得。米エンタメ界2大タイトルを初めて受賞した日本人となった。

 ベルトルッチ監督とは計3作品でタッグを組み、90年「シェルタリング・スカイ」では、ゴールデングローブ賞映画音楽賞などを受賞。その後も、2015年の「レヴェナント 蘇えりし者」や、山田洋次監督の15年「母と暮せば」など多くの話題作を彩ってきた。

 映画音楽について「本来向いていない。大げさな仕掛けで聴き手の感情を高揚させる音楽は苦手」と発言したこともあった坂本さん。しかし、生み出された数々の旋律は色あせることなく、人々の記憶に残り続ける。

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