永井路子さん 大河ドラマに遺した大きな功績 現代口調のセリフ要請、女性作家では初の原作者

[ 2023年2月9日 16:46 ]

NHK 大河ドラマ「草燃える」(第17作)大河ドラマ「草燃える」のスタジオ収録を行った岩下志麻(左)と石坂浩二=1978年11月7日撮影
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 老衰のため都内の病院で1月27日に97歳で死去した直木賞作家の永井路子(ながい・みちこ、本名黒板拡子=くろいた・ひろこ)さん。時代に翻弄された女性の生き方を描く作品を多く手掛けたことでも知られる。

 NHK大河ドラマ「草燃える」(1979年)、「毛利元就」(97年)の原作は永井さんの作品。「草燃える」は大河では17作目。永井さんの「北条政子」「炎環」「つわものの賦」「相模のもののふたち」「絵巻」の小説5作品を原作としている。1963年に第1作がスタートした大河ドラマとしては、永井さんが女性作家で初の原作者となった。

 さらにこの時、制作側に原作者として要望したことが大河の歴史を変えた。テレビ関係者は「永井さんが『原作と同じようにセリフを現代口調にしてほしい』と依頼したと聞いています。時代劇風のセリフに慣れていた視聴者は最初は戸惑ったようですが、物語をより身近なものとして感じられるようになり、日常生活と同じ言葉を登場人物が話していることで、一層引き込まれていったようです。その後、大河ドラマの作品に現代口調が増えていきました。これは大きな功績です」と話している。

 「草燃える」は、骨肉の争いに苦悩した北条政子の一生を軸に、夫の源頼朝が武家政権を築いた時代から、北条氏が実権を握って政権を盤石にするまでの転換期を新たな視点から描いた作品。前半の主人公・源頼朝を石坂浩二、後半に主人公に繰り上がる北条政子を岩下志麻が演じた。

 永井さんは日本の文壇のみならず、国民的ドラマの歴史にも大きな足跡を遺した。

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