鈴木亜久里氏 “愛弟子”琢磨の快挙を祝福「ゴルフのマスターズで2回勝つようなもの」

[ 2020年8月25日 05:30 ]

インディカー・シリーズ第7戦インディアナポリス500マイル ( 2020年8月23日    米インディアナ州インディアナポリス・モータースピードウエー )

06年のF1マレーシアGPでの鈴木亜久里氏(左)と佐藤
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 90年日本GPで日本人初の表彰台を達成した元F1ドライバーで、共同オーナーとしてインディカー・シリーズにも参戦した鈴木亜久里氏(59)が、佐藤琢磨の快挙を祝福した。04年米国GPで日本人2人目の表彰台に立ち、06~08年には鈴木氏がオーナーを務めたF1スーパーアグリでドライバーも務めた“愛弟子”を、「インディ500マイスター」と称えた。

 いやー、凄い。凄いの一言しか出てこないよ。インディ500で2度優勝するって、日本人がゴルフのマスターズで2回勝つようなもの。米国では日本人にはなかなか降りてこない神様も降りてきているよ。日本でも、もっと騒がれてもいい快挙じゃないかな。

 3年前に優勝して、昨年も3位。彼自身、インディ500の走り方を分かっている。見る側からすると200周のレースだけど、ドライバーにとっては、180周まではローリング(隊列を組んでの走行)みたいなもので、最後の20周からが本当のレース。その最後のスティント(ピットアウトからフィニッシュまで)で一番速く走れる車をセットできるかが重要で、琢磨はレース展開を見ながら、車をどんな状態にして、どのポジションへどう置けば走りやすいかを知っている。3年前と所属チームは違うが、彼が豊富な経験をエンジニアに伝え、ドライバー主導の共同作業で車のセットもつくり上げたように思う。

 インディカー・シリーズはロードコースもあればオーバルコースもあり、ドライバーにも好き嫌いがある。若いドライバーが勢いで勝てるロードと違い、集団の展開が多くなるオーバルコースでは経験が凄く大事で、インディ500ともなると「頭脳で走る」レースになる。マラソンに近いものがあって、ここで集団から前へ出るべきか、引いて待つ方がいいかなど、相手と駆け引きしながら見極められるベテランが強みを発揮しやすい。琢磨もこのコース自体が好きだと思うし、インディアナポリスのスペシャリスト、マイスターとして現地でもリスペクトされている。

 まだドライバーとして走れるけど、将来的には日本に戻らず、米国でチームをつくったり、後継者を育てることも視野に入れてほしい。米国で日本代表として戦えるエネルギーを琢磨は持っている。 (元F1ドライバー)

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