【中山GJ】イロゴトシ 九州産初G1制覇!新星がオジュウチョウサン超えの「3秒1差」圧勝

[ 2023年4月16日 05:04 ]

中山GJを制した黒岩騎乗のイロゴトシ(撮影・河野 光希)
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 最強ジャンパーを決めるJ・G1「第25回中山グランドジャンプ」が15日、中山競馬場で行われ、熊本生まれの6番人気イロゴトシ(牡6=牧田、父ヴァンセンヌ)が大差勝ち。九州産馬として史上初のG1タイトルをつかんだ。鞍上の黒岩悠(39)、管理する牧田和弥師(51)も悲願のG1初制覇を飾った。

 離しに離した「3秒1」はオジュウチョウサン(18年=2秒4)超えのレース最大着差。降りしきる大雨、荒れ馬場に苦しむ9頭を尻目に、4角を待たずに九州男児イロゴトシが先頭に浮上した。「強気、強気に攻めた」と黒岩。1番人気ニシノデイジーを置き去りにして直線を向くと、後続の足音は徐々に聞こえなくなった。「一発でツモりました!!」。麻雀好きの鞍上らしくG1初勝利を喜んだ。

 8年ぶりに絶対王者オジュウチョウサン不在の一戦。「ひと言で表現するならセンス抜群」(黒岩)という危なげない飛越が勝因となった。牧田師は「いい勝負になると思っていたけど、想像を超える走りだった。とにかく飛越がうまい」。道中は中団につけていたが、障害ごとに位置を上げた。「ジョッキーがこの馬のことを分かってくれているので、何も言わずに“ツモってこい”と送り出したよ」と笑いを誘った。

 独走するイロゴトシを特別な思いで見守ったのが生産者の本田土寿氏。18歳から地元・熊本で牧場運営を始め、62歳にしてG1初勝利。「我が息子の晴れ舞台。家族7人全員で熊本から来ました。熱い思いは負けないとやってきたが、神様が後押ししてくれた感じがします。(今日の光景は)絶対に忘れません」と感激しきり。繁殖18頭、敷地面積55ヘクタールの牧場は、北海道の大牧場と比べれば規模は決して大きくない。それでも、ヨカヨカが平地重賞(21年北九州記念)を勝ち、イロゴトシがG1馬になった。「いつか、九州産馬の活躍が普通になれば」。その時は確実に近づいている。

 九州生まれの最強ジャンパーの今後について、指揮官は「まずはひと息入れてから」と伝えた。キタサンブラックの調教パートナーを務めた黒岩はその確かな“物差し”で「伸びしろがまだまだある」と評する。障害キャリア4戦目での当レース勝利は、アップトゥデイト(6戦目)の記録を更新し過去最少。絶対王者が去った大障害コースに、新時代の風が吹いた。

 ◇イロゴトシ 父ヴァンセンヌ 母イロジカケ(母の父クロフネ)17年3月7日生まれ 牡6歳 栗東・牧田厩舎所属 馬主・内田玄祥氏 生産者・熊本県の本田土寿氏 戦績28戦5勝(うち障害4戦2勝、重賞初勝利) 総獲得賞金1億4207万5000円(うち障害8040万円) 馬名は母馬の名前からの連想で「色事師」。

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2023年4月16日のニュース