聖奈 G1の扉開けた!通算31勝目で騎乗資格勝利数到達 84年以降JRA平地最大着差で決めた

[ 2022年8月21日 05:25 ]

<小倉6R・新馬戦>レコード勝ちで31勝目を挙げ笑顔の今村(撮影・中村 達也)
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 さあ、夢のG1舞台へ。新人女性騎手の今村聖奈(18=寺島)が20日、小倉6Rをヤマニンウルスで勝ち、通算勝利数が31勝(JRA27勝+地方4勝)に到達。JRA・G1に騎乗する資格をデビューわずか5カ月余りで手に入れた。夏の話題を独占する黄金ルーキーが、秋は夢のステージに羽ばたく。

 聖奈がド派手に決めた。小倉6R新馬戦、ヤマニンウルス(牡=斉藤崇、父ジャスタウェイ)で後続をちぎって捨てる大差勝ち。走破時計の1分44秒3はダート1700メートルの2歳レコード。2着ゴライコウにつけた4秒3差はグレード制導入の84年以降のJRA平地レースで最大着差。そんな演出も彼女が持った天性のスター性なのだろう。

 レースは好スタートから意識的に2番手のポジションを選択したが、手応えが違いすぎた。3角から早めのロングスパートに迷いはない。直線に向くと後続はちぎれる一方だった。

 「強い馬に乗せてもらいました。ゲートの時にごちゃついたり、イレギュラーな部分はあったんですが、馬は精神的に大人でむしろ馬の方が堂々としていました。直線は遊びながら走っていたし、後続の脚音が聞こえず、最後は流す感じでした」

 晩夏の小倉に今村の笑顔が咲いた。先週土曜の小倉9Rを勝ち、通算勝利数が「30」に到達。日曜こそ10鞍で2着1回、3着1回に終わったが、ほとんど足踏みなく31勝を達成。それでも「まだ現状ではダメだと思うし、勝ちを急いでいる部分も正直あります。地に足をつけて、向上心と感謝を忘れずに頑張っていきたい」と冷静に先を見据えていた。

 現状お手馬と呼べるオープン馬はカデナだけだが、今の勢いなら新たな依頼があって全く不思議はない。G1初騎乗はスプリンターズS(10月2日、中山)か、秋華賞(10月16日、阪神)か。秋競馬も彼女が話題の中心にいることは間違いない。

 ◇今村 聖奈(いまむら・せいな)2003年(平15)11月28日生まれ、滋賀県出身の18歳。栗東・寺島厩舎所属。JRA通算292戦27勝(20日現在)。父は元ジョッキーで現在、栗東・飯田祐史厩舎で調教助手の今村康成さん。1メートル59、47キロ。血液型B。趣味は馬と触れ合うこと。

 ▽G1騎乗資格 JRAの内規により、平地・障害の各競走問わず、通算勝利度数が31回に満たない騎手はGIおよびJpnI競走に騎乗することができない(障害のJ・GI競走は除く)。勝利数には地方での交流競走の勝利もカウントされる。男性見習い騎手の減量が3キロ減(▲)から2キロ減(△)へステップアップするタイミングでG1に騎乗する資格ありと判断される。

 ▼寺島良師(今村の師匠)G1に乗れるようになったというだけで、依頼があったわけではないですから。同期の中では一番勝っていますし重賞も勝たせてもらえた。ここまでは順調に来ていますね。ケガなくやれているのはいい。反省点もあるだろうけど現状はちゃんと乗れているし周りの先輩に教わったことをモノにしてきていると思います。まずは一年を通してしっかり乗れるように、気負わずにやってほしいですね。

 ▼福永(自身に次ぐ3番目の速さで記録達成に)やるやん(笑い)。本当に立派だと思います。真面目だし、勉強熱心。今の向上心を持ち続けていればトップジョッキーの一員になれると思う。これからもケガせず、自分のペースで頑張ってほしいです。

 ▼飯田祐史師(モズミツボシで勝利、父・康成さんが調教助手として所属)彼女の強さは努力をし続けられること。表情を見てもらったら分かると思います。いつも凄く楽しそうに馬に乗っている。レースでも調教でも。本当に馬が好きなんだと思う。レースでは馬の邪魔をしない、流れに逆らわないのが彼女のいいところだと思います。

 ▼五十嵐忠男師(重賞初制覇を飾ったテイエムスパーダを管理)G1に乗れるとかいうレベルじゃないよね。いい度胸をしているというか、肝が据わっている。テイエムスパーダで重賞初騎乗だった時もパドックでニコニコしていたからね。そういう勝負根性もあるから、結果も出ているんでしょう。

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