【フィリーズR】3・11勇気のV!アレグロで福島出身・田辺が届ける

[ 2018年3月8日 05:30 ]

田辺は小西厩舎の前でカメラを向けると「一枚だけだよ!」と福島県出身らしく茶目っ気と優しさと笑顔を見せた
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 東日本大震災から丸7年。昨年に続き、今年の3月11日にも中央競馬が開催される。福島県の二本松市に実家のある田辺は当日、フィリーズRのモルトアレグロに騎乗。テンションを考慮されて最終追いには携わらなかったが、震災についての話を振られると複雑な表情で口を開いた。「地元の友達に連絡を取っても震災があったからと後ろを向いている人間はいないんですよ。自分も今は福島に住んでいるわけではないし、外野から気軽なことは言えないです」

 震災当日は小倉競馬場に滞在していた田辺。テレビに映るのは変わり果てた遠い故郷だった。時がたち、今は田辺らしい考え方で地元の復興を見つめている。「“かわいそう”とか“頑張って”の言葉だけじゃ(復興には)足りないと思う。(当時は)何もない状態だったし、必要なのは実際の支援なんです」。元々が職人肌の男。言葉でエールを送るより、自らの騎乗で地元を勇気づける。モルトアレグロとは初コンビだが、Wコースの1週前追いにはまたがっている。「気がいい馬なんで休み明けでもモタモタすることはないと思う。桜花賞への賞金はもう持っているので、ここを叩いてさらに上昇というイメージですね」と手応えを口にした。

 最後まで慎重に言葉を選び続けた田辺。その姿は自身の考えを再確認しているようにも映った。「だけど、語り継がなくなって忘れてしまうのも違うと思うんです。難しいです」。多くの尊い命を奪った東日本大震災。あの日から多くの人々がさまざまな思いを胸に秘めて生きてきた。今年の3・11も田辺は一心不乱にムチを振るう。

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2018年3月8日のニュース