井上尚弥の4団体統一戦阻止へ タパレス不敵「私こそが井上を初めて破る選手になる」

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ボクシングWBC&WBO世界スーパーバンタム級2団体統一王者・井上尚弥(30=大橋)と12月26日に4団体統一戦を行うことが有力な、もう一人の同級2団体統一王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)が「打倒・井上」に闘志を燃やしている。ここまで25戦無敗の日本が誇る「モンスター」との対戦に向け、米ラスベガスで調整を続けるWBA&IBF統一王者を取材した。(米ラスベガス・杉浦大介通信員)
バンタム級に続いてスーパーバンタム級も完全制覇し、史上2人目の2階級4団体統一の偉業達成を狙う井上を阻止しようと、タパレスが燃えている。年末にも大一番が実現する可能性が高まる中「4団体統一王者になることこそがボクサーにとって究極の目標。こういった重要な試合をずっと待ち望んでいた」と高ぶる高揚感を口にした。
フィリピン出身のタパレスは4月にWBA&IBF世界スーパーバンタム級統一王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)を2―1の判定で下し2本のベルトを獲得。現在は母国フィリピンから米ラスベガスに渡り、週3日のスパーリングなどで調整を続けている。
7月には井上VSスティーブン・フルトン(米国)の統一戦を現地・有明アリーナで観戦。無敗のフルトン相手に8回TKO勝ちした井上の強さを目の当たりにし「井上は技術、パンチ力を兼備した“コンプリート・パッケージ”(完全装備)。全てのことをこなせる選手」と印象を語る。試合後のリング上ではタパレスとの4団体統一戦を熱望した井上に対し、前向きな姿勢を示していた。
「井上は世界最高のボクサー。階級最強の選手と戦うことで、自分自身にチャレンジしたいし、私もトップボクサーだと証明できる」。大一番に向け、フルトン戦をはじめ、ドネア戦などの過去の映像はほとんど確認済み。「ジャッジに優勢を印象付けるためにKOを目指して攻めないといけないだろう」とKO決着も見据えながら、敵地・日本に乗り込む覚悟はできている。
過去には「家族を路頭に迷わせること以外に怖いものはない」と話していたタパレス。「私が怖いのは家族が飢えることだけ。それ以外に怖いものはないし、怖いボクサーも存在しません。私には妻と2歳の娘がいて、その2人こそが私が戦い続ける最大の理由です」。フィリピンにいる家族に最後に会ったのは2カ月半前だといい「井上との試合が決まっても、日本には来ないはず。次に家族に会うのは、井上との戦いが終わった後になるのでしょう」と勝って最高の報告をするつもりだ。
21年7月以降、アーネル・フォンテニーヤを新トレーナーに迎えた。現役時代にマニー・パッキャオのキャンプに帯同した経験もある同氏について「彼も元ボクサーで、経験豊富なのが大きい。ボクサーのことをよくわかっていて、私のことも理解してくれる。非常にハードワーカーなのも信頼がおける理由の一つ」と信頼を口にする。
今後のスケジュールは「試合が正式に決まるまで日程も決められないが、井上戦が12月に組まれるとして、その直前までこのラスベガスでトレーニングを続ける」とタパレス。過去にも来日経験があり「できれば観光もしたいが、美味(おい)しいものを食べたい。和牛を一度だけ食べたことがあり、あれは本当に素晴らしかったです。あとはラーメン。私はヌードルが大好きで、日本のラーメンは最高でした」と笑みを浮かべながら振り返った。
「私にはハートの強さがある。私は何者も恐れない。井上は無敵、完璧なボクサーだと言われているが、私こそが井上を初めて破る選手になってみせる」。
これまで多くの強豪相手に番狂わせを起こしてきたことで「ナイトメア」の異名を持つタパレス。井上相手にも悪夢のような結末を起こす準備は整っている。