×

ヘビー級3冠王者ウシクがジョシュアを2―1判定で返り討ち 初防衛で戦火の祖国に朗報届ける

[ 2022年8月21日 08:22 ]

WBAスーパー&IBF&WBO統一世界ヘビー級タイトルマッチ12回戦 ( 2022年8月20日    サウジアラビア・ジッダ )

初防衛に成功した3団体統一世界ヘビー級王者のオレクサンドル・ウシク(左)(AP)
Photo By AP

 3団体統一世界ヘビー級王者オレクサンドル・ウシク(35=ウクライナ)が前統一王者アンソニー・ジョシュア(32=英国)に2―1で判定勝ちし、3つの世界王座の初防衛に成功するとともに米誌リング・マガジン認定世界ヘビー級王座を獲得した。昨年9月の対戦ではウシクが3―0判定で快勝しており、約11カ月ぶりの再戦で返り討ちにした。12年ロンドン五輪ヘビー級金メダリストで元4団体統一世界クルーザー級王者のウシクは20戦全勝(13KO)、同五輪スーパーヘビー級金メダリストで3度目の世界ヘビー級王座戴冠に失敗したジョシュアは24勝(22KO)3敗。

 前半はテクニカルな戦いでウシクが優位に立った。右ジャブを多く繰り出し、速いワンツーや左ショートで相手ガードの隙間を再三打ち抜いた。フィジカルで上回りたいジョシュアはボディー主体にプレッシャーをかけたが、左右に動いてポジションを変えるウシクに連打が出ない。それでも8回にボディーのコンビネーションで圧力を強めると、9回にはアッパーも交えて攻勢を仕掛け、ウシクを後退させた。だが、ウシクは10回に細かいコンビネーションを叩き込んで踏みとどまり、ジョシュアのパワーパンチに苦しみながらも手数を減らすことなく逃げ切った。戦いを終えると2人は抱き合い、ウクライナ国旗を掲げて連帯を示した。採点はジャッジ1人が115―113でジョシュア、2人が115―113と116―112でウシクを支持した。

 ウシクは今年2月のロシアによる母国ウクライナ侵攻を受け、練習拠点の英国から帰国。「チャンピオンベルトよりも祖国と名誉の方が大切だ」と陥落危機にあった首都キーウの領土防衛隊に入隊し、ジョシュアとの再戦開催は一時不透明となった。だが、警備のために訪れた病院で負傷兵たちからリング復帰を促され、出国してトレーニングを再開。最前線の兵士たちと連絡を取り合っており、激励のメッセージに刺激を受けていると明かしていた。

続きを表示

この記事のフォト

2022年8月21日のニュース